海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ハノイ ~ ラオカイ : 寝台列車と中国国境の風景

[2013年7月]

ハノイから北西に向かって中国国境まで伸びるラオカイ線 (ハノイ-ラオカイ鉄道 Đường sắt Hà Nội-Lào Cai) は、ベトナム鉄道の中では南北線 (統一鉄道) に次いで長い路線 (約300 km) で、夜行列車も運行されています。終点のラオカイの近くには、観光地として有名な少数民族の町サパ (Sa Pa) がありますが、近隣には空港がなく、大勢の旅行者が鉄道を利用するため、毎日数往復の観光客向け寝台列車が設定されています。今回は、そのラオカイ線の夜行列車に乗車してみることにします。

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北へ向かう列車が発着する、ハノイB駅。ラオカイ線の列車もこの駅からの乗車です。ラオカイ線の夜行列車は旅行客に人気が高く、乗車当日に寝台券を入手するのは困難とのことで、今回は私も事前に旅行会社経由で切符を手配しました。当然、駅で買うより高くなりますが、安心料みたいなものです。


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空調の効いていない待合室内は蒸し暑く、多くの乗客が駅舎の外で列車を待ちます。やはり外国人観光客の数がかなり多いようです。駅前に屋台が何軒かありますが、旅の夜食を買う旅行客で結構繁盛しています。


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この日のラオカイ行き夜行列車は、定期列車のみの4本の運行。これ以外に、臨時列車が運行される日があります。SPで始まる列車は寝台車主体の急行列車で、主にサパ行きの観光客が利用しています。一方、LCで始まる列車は座席車主体の鈍行列車で、地元客に多く利用されています。今回乗車するのは、21:10発の寝台急行列車、SP1列車です。


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発車の30分ほど前に改札が始まり、プラットホームへ入ります。SP1列車の牽引機は、旧チェコスロバキア製のD12E形機関車。ラオカイ線では、イエンバイ (Yên Bái) 行きの区間列車を除いて、ほぼ全ての旅客列車で本形式が使用されています。セミエンドキャブ構造で、どの列車でも運転台側が前になるよう、終点の駅で方転を行っています。


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機関車の次位は電源車。通常は、半室が乗務員居住区となった"CVPĐ"という車両が使用されますが、今回は非常に珍しい半室食堂車"HCPĐ"が連結されています。電源車に関しては、なぜかラオカイ線に変り種の車両が集中しており、他にも半室荷物車の"HLPĐ"とか、形式名だけでは何の車両か分からない"CVFĐ" (ベトナム語では"F"は使用されません) といった車両も見かけます。
※電源車の形式に関してはこちらも参照。


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旅客用車両は、全車ソフトベッド車で、そのほとんどが旅行会社の専用車両となっています。各社が1両か2両の専用色の車両を連結しており、編成全体としては非常に色とりどりです。


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今回乗車することになったのは、こちらの緑色の車両。「パンプキン・エクスプレス」と書いてあります。どの車両にも、「○○エクスプレス」とか「○○トレイン」とか書かれていますが、いずれも専用の列車を仕立てているわけではなく、定期列車に併結という形を取っています。


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ベトナム鉄道 (ĐSVN) の関連会社ラトラコ (Railway Transport and Trade Joint Stock Company) も、専用の客車を運行しています。


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旅行会社の専用車両が大半で、ベトナム鉄道の標準色の車両は数両しか連結されていません。駅で当日に買うのがいかに難しいか、列車の編成を見ても明白なようです。もっとも、これら標準色の車両も、旅行会社に席を押さえられてしまっている可能性もあります。


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客車の総勢は電源車を除いて15両。サパ観光の需要の旺盛さが伺えます。


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「パンプキン・エクスプレス」の車内。普通のソフトベッド車がベースですが、木目調の化粧板等を使用して、少し高級感を出した感じです。


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寝台は、日本のB寝台車に似た2段ベッド。部屋には既に先客がいます。サパ観光は外国人だけでなく地元のベトナム人にも人気で、同一区画の他の3人は、いずれもベトナム人客のようです。


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列車は、ハノイを定時に発車。隣の駅ロンビエン (Long Biên) を過ぎるとすぐに、ロンビエン橋を通ってホン川 (紅河) を渡ります。ラオカイ線はこの先、終点までの全区間でこのホン川に沿って走ります。時刻は夜の9時過ぎ。この列車は速達タイプで停車駅も少なく、あまり見るものも少ないため、同室のベトナム人客とともに、早々に消灯して眠りに就くことにします。


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すっかり熟睡してしまい、目が覚めたのは朝の5時20分。時刻表上ではまもなくラオカイに到着するはずですが、周囲の景色は人里の雰囲気ではなく、到着まではまだしばらく掛かりそうです。車窓に見えるのは、ハノイからずっと線路に沿ってきたホン川です。


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30分ほど走ってようやく街中へ。ラオカイ到着はまもなくのようです。


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終点ラオカイには、約40分遅れて到着。時刻は朝の6時過ぎ。


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大きな荷物を持った観光客が、大勢列車から降りてきます。


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駅前は、列車から降りてきた乗客と、それを迎えに来た旅行会社関係者、サパ観光の客引きなど、大勢の人でごった返します。


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駅近くのホテルに部屋を取り、しばらくして駅前に戻ってみると、駅はすでにひっそりとしています。


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駅舎の中に入ってみます。ラオカイ駅を発着する列車は、数本の夜行列車と、一本の昼行列車のみで、いずれも朝と夕方に集中しているため、昼間は基本的に旅客列車の発着はありません。


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出札口の脇には、今は廃止されてしまった、中国・昆明行きの国際列車の時刻表が貼られたままになっています。ラオカイから昆明までは、ほぼ24時間かけて走っていたようです。中国では珍しいメーターゲージを走る旅客列車としても貴重な存在でしたので、近い将来の復活を期待したいところです。


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ラオカイ駅から中国国境までは約2 km。国境までの線路を歩いてたどってみます。生憎この日は天候が今一つで、時折晴れ間が見えたと思いきや、しばらくすると激しい雨。ところどころで雨宿りしながら、線路沿いを歩いていきます。


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国境を越える旅客列車は廃止されましたが、貨物列車は運行されているとのことで、線路は綺麗な状態で保たれています。


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国境を越える橋。川の向こうは中国の河口です。あまり警備は厳しくなく、物々しい雰囲気は見られません。


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隣には歩行者用の橋もかかっています。中国側のほうが新しい建物が多そうに見受けられます。


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ベトナム側の国境ゲートから、歩行者用の橋を臨んだ風景。現在は、河口から先の中国国内区間 (昆河線) でも旅客列車は運休中で、この先、列車で旅を続けることはできません。


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