海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ラオカイ ~ ハノイ : 観光路線をゆく長距離ローカル列車

[2013年7月]

ハノイ ~ ラオカイ間を走るラオカイ線 (ハノイ-ラオカイ鉄道 Đường sắt Hà Nội-Lào Cai) では、少数民族の町サパ (Sa Pa) を訪れる観光客のための寝台急行列車が毎日数往復運行されていますが、その他にも、地元客が利用するローカル列車が、昼行と夜行の各1往復運行されています。ラオカイからハノイへの帰路は、長時間をかけて走る昼行のローカル列車に乗ってみることにします。

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ハノイ行きローカル列車LC4列車は、朝の9:15の出発。駅前では多くの客が列車を待っていますが、やはり観光客風の乗客はかなり少なめです。


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LC4列車は、ハノイからの夜行LC1列車の折り返しで運行されますが、LC1列車の到着が遅れており、発車予定時刻なってもまだホームに入ることができません。駅舎の中は乗客で混雑しています。


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LC1列車は2時間ほど遅れて到着。乗客の降車が終わり、ようやくホームに入れたのは、発車予定時刻の30分後。どうやら、通常は中型機関車のD12Eが牽いてくるところを、何らかの理由でやや小型のD10Hが牽引してきたため、機関車の力不足で到着が遅れたようです。一方、これから乗るLC4列車にもD10Hが使用されるのかと思いきや、D10Hはハノイ方の客車2両を減車だけして去っていきました。LC4列車は通常通りD12Eの牽引のようです。


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列車は、客車9両と電源車、荷物車など。ローカル列車らしく客車は非冷房・木製シートのハードシート車が主体で、最上級のソフトベッド車のみで組成された観光客用の夜行急行列車とは好対照です。


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ローカル列車ですが、長距離を走るため、食堂車が連結されています。通常は食堂車は列車の端に連結されることが多いですが、今回は珍しく編成の中ほどに連結されています。


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上級車両としては、ソフトシート車が1両のみ連結。他には冷房付きハードシート車が2両で、あとは全て非冷房のハードシート車です。


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すでに発車時刻を過ぎており、いつ列車が発車するか分からないので、写真撮影もそこそこにして、列車に乗り込むことにします。ハノイまでの所要時間は約11時間です。


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ハードシートでハノイまで乗り通す根性がない私は、完全冷房のソフトシート車に乗車。今回の切符も、往路の寝台列車と同じく、あらかじめ旅行会社に手配してもらいましたが、このLC4列車も全等級で結構混雑しており、事前手配してもらったのは正解だったようです。ソフトシート車の乗客も、地元のベトナム人が大半で、外国人旅行客の姿はあまり多くありません。


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今回乗車した車両は、ソフトシート車としては珍しく、窓に金網が付いています。しかも今回は通路側の席で、残念ながらあまり車窓を楽しめる環境ではなさそうです。


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ラオカイを発車した列車は、人があまり住んでいなさそうな森林区間を走っていきますが、20分に1回くらいの割合で、比較的頻繁に駅に停車します。駅によっては結構な数の乗降がありますが、降りた客の分だけ新たに客が乗ってきて、列車は常に満席です。


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列車はラオカイ発車時の遅れを少しずつ取り戻しながら走って行きますが、単線区間の宿命として、対向列車の待ち合わせでは長時間停車を余儀なくされます。ホン川のほとりのラムザン (Lâm Giang) という駅で、ハノイ発ラオカイ行きのローカル列車、LC3列車の待ち合わせ。乗客は混雑した列車を降りて、小さな駅のホームでちょっと一服します。


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別のホームには、D4H形機関車牽引の貨物列車が停車中。バラストを積載した貨車を連結しており、どうやら保線用の列車のようです。


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貨物列車の最後尾には、普段あまり見ることができない、保線用モーターカーらしき車両が連結されています。車体表記を見る限りでは、イエンバイ (Yên Bái) 駅の保線区の所属のようです。中国語の銘板も見えます。


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ラオカイを発って約6時間後、列車は沿線最大の都市、イエンバイに到着。多くの乗客が入れ替わります。なお、ハノイ~イエンバイ間には、一日一往復の区間列車が運行されており、その区間列車がほぼ全ての駅に停車する代わりに、LC4列車はこの先、少しだけ多めに駅を通過する快速運転を行います。


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イエンバイを境にして、車窓には人が住む気配が多く感じられるようになります。あたり一面には田んぼが広がり、ベトナム名物の三角の傘を被って、農家が作業している風景を見ることができます。


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ハノイ近郊まで遅れを引きずってきた列車でしたが、終点の二つ手前のザーラム (Gia Lâm) 駅での長時間停車を短縮して、終点ハノイには15分ほどの遅れで到着。比較的快適なソフトシート車だったとはいえ、朝から晩までの11時間乗車は少々長いです。


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この列車は恐らく、再び折り返してラオカイ行き夜行のLC1列車となると思われますが、手前のザーラム駅で、既にラオカイ方に別の機関車が連結されており、すぐに発車できるようになっています。


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ラオカイ行きの列車は、乗車時は裏手のハノイB駅からしかホームに入れませんが、降りるときは表側の「A駅」から出ることも可能です。私も他の乗客の後について、「A駅」から外に出ることにします。ホームには、サイゴン (ホーチミン) 方面へ向かう列車が発車を待っています。


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