海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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台東 ~ 枋寮 : 日本製旧型客車・普快3672次

[2016年3月]

台湾に残る、日本製旧型客車の普快車 (非冷房の普通列車)。近年は何度となく全廃の噂も流れていましたが、2016年現在、かろうじて一往復が南廻線 (枋寮~台東間) で運行を続けています。2010年にも同区間で乗車しましたが、今回、約6年ぶりに再訪してみることにします。特に深い意味はありませんが、6年前とは逆方向 (台東→枋寮) での乗車です。

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出発地の台東駅。南廻線の開業に伴って市街地の外れに移設された駅で、周囲には何もありません。


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駅に隣接する車両基地には、少し前に現役を退いたDR2700形が多数留置されています。かつて特急列車「光華号」用として製造された、日本製の気動車で、晩年は東部幹線の普快車として活躍していました。台東線 (花東線) の電化工事完成に伴って、2014年に現役を退いています。


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乗車する枋寮行きの普快3672次は、一番端のホームに入線。よりによって、一番写真が撮りにくいところに停車しています。


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牽引機は主力のディーゼル機関車、R100形。


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客車は3両編成。全て日本製の旧型客車です。1両目はSPK32700形のSPK32717。SPK32700形は日本製の平快客車 (二等客車) では最後に増備されたグループで、1970年に近畿車輛、富士重工、新潟鐵工であわせて100両が製造されていまs。


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2両目はSP32550形のSP32578。1968年に新潟鐵工と帝国車両で製造されたグループです。今回の編成の中では最古参です。


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3両目はSPK32600型のSPK32609。1969年に近畿車両と富士重工で製造されたグループです。


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スハ44に通じるとされる、旧型客車の車内。回転式のクロスシートが並びます。普通列車としては贅沢な設備です。乗客の姿はまばらです。


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列車は台東駅を定刻に発車。扉がない最後尾の貫通路部分では、少々危険ながらも後面展望を直接楽しめます。


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南廻線は1985年に最初の区間が開業した比較的新しい路線で、駅設備も綺麗に整ったものが多いですが、沿線の人口が少ないため、どの駅も人が少なく、ひっそりとしています。一方、普快車は台湾の鉄道ファンにも人気があるようで、列車の写真を撮る乗客をちらほらと見かけます。


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台湾でも屈指の有名な温泉地である知本。列車を利用する観光客はあまり多くないため、駅もそれほど賑わっていません。南廻線でも電化工事が進められており、この駅までは既に工事が完了しています。現在は一部の太魯閣号がこの駅まで乗り入れています。


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南廻線は太平洋沿いの雄大な車窓が広がる区間を走ります。窓を開けて風を直接感じることができるのは、非冷房車の特権です。


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南廻線の主要駅の一つである太麻里駅では、対抗列車の行き違いのため、しばらく停車。


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ディーゼルの自強号がやってきました。到着は2分遅れで、その影響で普快車も少しだけ遅れます。


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途中のコンクリート橋を渡る区間は、将来の複線化を見込んだ幅広の設計。


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台東を出発した時点では、数えるほどしかいなかった乗客ですが、途中で団体客が乗り込み、車内は少しだけ賑やかになります。台湾でもローカル線の列車旅が流行っているのでしょうか。


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長いトンネルを抜けると、列車は山あいにある枋野信号場に停車。ここでも列車の行き違いが行われます。時刻は午後6時少し前。あたりはいよいよ暗くなってきました。


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再び海が見えてきます。路線は台湾の西側に回り、車窓に広がる海も太平洋から南シナ海に変わります。


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枋寮が近づくにつれ、人の住む気配が増してきます。


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辺りは増々暗くなり、車内にも気だるい雰囲気が漂います。


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途中の区間で少々遅れも出ましたが、終点の枋寮には定刻に到着。乗客はそれぞれの目的地を目指して散っていきます。近い将来に廃止が予想される普快車。昔ながらの列車旅の雰囲気を味わえる貴重な存在です。


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