海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

title

title

HOME   >   ヨーロッパ   >   flag ルーマニア

クルージュ=ナポカ ~ ヤシ : ルーマニアの国内夜行列車

[2019年5月]

トランシルヴァニア地方の中心都市、クルージュ=ナポカ (Cluj-Napoca) から、東部のルーマニア第二の都市、ヤシ (Iasi) まで、夜行列車に乗って移動します。

01.jpg
深夜のクルージュ=ナポカ駅。乗車する列車の出発時刻は深夜1時です。駅構内や周囲の商店はあらかた営業を終了しており、駅周辺を適当にブラついて時間をつぶします。


02.jpg
この街には路面電車が走っており、駅前にも乗り入れています。もう少し時間が早ければ乗ってみたかったところですが、こちらも間もなく営業終了です。


03.jpg
オーストリア=ハンガリー帝国時代の1870年に建てられたという歴史ある駅舎は、内装も綺麗に維持されています。ATMもあります。また待合室には無料のWi-Fiが設置されていて、長い待ち時間での多少の暇つぶしもできそうです。荷物の一時預かり所もありますが、夜12時くらいで閉まってしまうようです。


04.jpg
乗車予定の列車はティミショアラ (Timișoara) 発ヤシ行きの急行列車「インターレジオ」IR 1838列車。夜行のIRは「インターレジオナイト (IRN)」と呼ばれることもあります。ルーマニア領内を西から東まで北部経由で横断する、首都ブカレストから遠く離れたルートを通ります。駅の掲示板によれば到着前の時点で既に45分程遅れており、乗車するのは深夜2時近くになりそうです。


05.jpg
深夜にも関わらず、結構な数の利用客がいます。


06.jpg
列車は結局、定刻より50分程遅れて到着。牽引機はルーマニア地場のエレクトロプテレ (Electroputere) 社製の41型電気機関車。


07.jpg
待ちかねた乗客たちが一斉に乗車します。この駅で方向転換と機関車交換を行うため、本来であれば12分の停車時間がありますが、この日は列車が遅れているため、いつ発車するかわかりません。私も早々に列車に乗り込むことにします。


08.jpg
寝台車に乗車します。寝台車は1両のみの連結です。他にはクシェット車が1両、座席車が数両という陣容です。


09.jpg
クラシック感溢れる寝台車の内装。外観上はあまり古さを感じさせませんが、実は製造年が1957-73年頃というかなりの古参車両です。もともとドイツで使われていたものを購入し、改装した上で使用されています。


10.jpg
コンパートメント内も同様の雰囲気。造りは古いながらも綺麗に維持されており、居住性は上々です。寝台は1~3人用で、利用人数に合わせて寝台のセット数を変えるヨーロッパで一般的な方式ですが、実際の運用では最大2人利用までに限定されているようです。今回は1人利用ながら、寝台は2人用でセットされています。


11.jpg
列車は夜中もこまめに駅に停車してきます。夜が明けると、列車はトランシルヴァニア地方を抜け、ルーマニア北部のブコヴィナ地方へ入っています。


12.jpg
スチャヴァ (Suceava) 駅に到着。時刻は朝の8時半で、遅れは30分弱にまで回復しています。牽引機はクルージュ=ナポカから40型機関車に変わっています。上記の41型機関車の姉妹形式です。


13.jpg
終点のヤシまではあと2時間ほど。朝の身支度を整えることにします。テーブルを持ち上げると下から洗面台が出てきます。頭上のキャビネットにはミネラルウォーターと洗顔セットも入っています。


14.jpg
散歩がてらに隣の車両も覗いてみます。2両目はクシェット車。3段式B寝台のような構造です。1両のみの連結。


15.jpg
続く座席車への貫通扉は鎖で施錠されて通行できなくなっています。恐らく防犯上の理由だと思われます。近くにいた車掌に「ダメだよ」という感じで追い返されます。


16.jpg
遅れを少々取り戻し、終点のヤシには約20分遅れで到着。クルージュ=ナポカからの乗車時間は約9時間です。


17.jpg
乗車時には時間がなくてよく見ることができなかった編成全体を観察してみます。1両目は今回乗車してきた寝台車。


18.jpg
2両目はクシェット車。使用する寝台の段数 (2段か3段) によって一等と二等が区分されるため、1と2の両方の表記がありますが、実際にはすべて3段 (二等車扱い) で運用されているようです。


19.jpg
一等座席車は1両のみ連結。


20.jpg
二等座席車は3両連結。ルーマニアでよく見られる、開放型とコンパートメント型を足して二で割ったような「片通路型」の座席です (車内の様子はこちらで)。途中でシゲトゥ・マルマツィエイ (Sighetu Marmației) 行きの二等車が切り離されているため、列車はクルージュ=ナポカ発車時より1両短い6両編成となっています。


21.jpg
クルージュ=ナポカ駅とほぼ同時期の1870年に建てられたという歴史あるヤシ駅の駅舎。ルーマニア第二の都市の玄関口だけあって、規模はやや大きめです。ルーマニアは主要駅で無料のWi-Fiのサービスを行っているらしく、この駅でも利用が可能です。ただし接続はやや不安定。


22.jpg
駅舎から少し離れたところ (上の写真でいうと右手方向) に荷物の一時預かり所があります。次の列車まで少々時間が空いているので、ここに荷物を預けて周辺散策に出かけることにします。預かり所の営業は朝6時から夕方18時まで、料金は小さな荷物が4レイ (約100円)、大きな荷物が6レイ (約150円) です。


≪  前の記事へ    -    flag ルーマニア    -    次の記事へ  ≫


home

CONTENTS