海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ワルシャワ市内交通

[2016年5月]

ポーランドの首都ワルシャワの鉄道を見て回ります。

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ワルシャワのターミナル、ワルシャワ中央駅 (ヴァルシャヴァ・ツェントラルナ Warszawa Centralna)。旧ワルシャワ中央駅 (ヴァルシャヴァ・グウヴナ Warszawa Główna) の代替として1975年に開業した駅で、地下化されたプラットホームと旧ソ連様式の駅舎が特徴です。ポーランドでは各都市の中央駅を「グウヴニ Główny / グウヴナ Główna」と呼ぶのが一般的ですが、ワルシャワでは旧中央駅に代えて新中央駅を新設したため、例外的な命名となっています。


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ワルシャワ中央駅のすぐ近くには、ワルシャワ・シルドミエシチェ (Warzsawa Śródmieście) という別の駅があります。中央駅が主に長距離列車の発着を担っているのに対し、シルドミエシチェ駅は近郊列車の発着駅となっています。こちらも完全地下化された駅で、開業は中央駅より早い1949年。「シルドミエシチェ」とはポーランド語で「市中心部」を意味しています。


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ワルシャワでは数種類の近郊鉄道が運行されています。こちらはワルシャワの都市高速鉄道SKM (シプカ・コレイ・ミェイスカ Szybka Kolej Miejska)。ワルシャワ市交通局 (ZTM) が運営する路線で、ポーランド国鉄線路会社 (PKP PLK) の線路を借りて、ワルシャワ市内区間 (一部市域外区間あり) を運行しています。


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ワルシャワ及びその近郊を広くカバーしているのが、地域輸送会社のマゾフシェ鉄道 (コレイェ・マゾヴィエツキェ Koleje Mazowieckie)。マゾフシェとはワルシャワ市を含む県の名前です。SKMと同様、PKP PLKの線路を借りて運行しています。多様な形式の車両を保有しているのも特徴です。写真の電車は、最大勢力を誇る古参車両のEN57系電車。製造時は大きな目玉が特徴でしたが、ワルシャワ近郊を走る車両は多くが近代化改修を受け、今風の顔立ちに生まれ変わっています。


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新型車両の導入も進んでいます。写真の車両はスイスのシュタッドラー (Stadler) 製「フラート (FLIRT)」シリーズのER75系電車。


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こちらはポーランド地場のペサ (Pesa) 製「エルフ (Elf)」シリーズのEN76系電車。上述のSKMの車両の姉妹形式です。


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プッシュプルタイプの二階建て客車列車もあります。写真はボンバルディア製客車「ツインデックス (Twindexx)」。他にもペサ製客車も活躍しています。


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異色の存在が、ワルシャワ通勤鉄道WKD (ヴァルシャフスカ・コレイ・ドヤズドヴァ Warszawska Kolej Dojazdowa)。中央駅近くのワルシャワ・シルドミエシチェWKD駅を起点とする、独立した一路線とその枝線のみが存在します。もともとはイギリス資本の私鉄でしたが、その後ポーランド国鉄 (PKP) による運営を経て、現在は地方自治体による運行となっています。普通の鉄道よりも一回り小さな車両が使用されています。写真は現在主力の新形式EN97系電車。


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少し前までWKDの主力形式であったEN94系電車。新形式EN97系への置き換えが進み、現在は少数が活躍するのみです。


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地下鉄は長らく一路線のみでしたが、2015年になって二路線目が開業しています。写真は1号線で活躍するロシア (旧ソ連時代を含む) 製の81系電車。開業当初から投入されてきた形式です。


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2000年代から追加で投入された、フランス・アルストム製車両。こちらも1号線で活躍。


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新規開業の2号線には新形式のドイツ・シーメンス製車両が集中投入されています。同形式の車両は1号線にも一部投入されています。乗降扉が全面ガラス張りになっているのが特徴です。


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ワルシャワの路面電車も規模は大きく、路線延長は130 km。ペサ製の低床式新型車両の投入が精力的に進められています。片運転台型の車両がほとんどですが、新型車両では一部に両運転台型の車両も導入されており、ループ線がない途中の停留場での折り返し運転に対応しています。


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高床式の旧型車もまだ多くが活躍しています。ほとんどがポーランド地場のコンスタル (Konstal) 製の車両で、旧共産圏諸国の標準型車両であった旧チェコスロバキア・ČKDタトラ (ČKD Tatra) 製車両をベースに、ポーランド国内で自製化したものです。


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コンスタル製車両は1973年から30年以上の長きにわたって投入が続けられ、後期型は外観も大きく変化しています。初期型、後期型とも、2両連結で運行されることが多いようです。


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最後におまけ。冒頭で紹介した旧ワルシャワ中央駅跡です。中央駅の一つ隣にあるワルシャワ・オホタ (Warszawa Ochota) 駅のすぐ近くにあります。1975年に新たなターミナルとして新中央駅が開業した後も、1997年まで営業を続けていました。廃駅後は鉄道博物館に改装され、軍用列車などの貴重な展示車両の数々が人気を博していました。


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少し前から鉄道博物館は閉鎖されるという噂がでていましたが、とうとう2016年3月末で閉館したとのこと。入り口には「一時的に閉鎖」とだけ書いてありますが、「鉄道博物館」を閉鎖して「駅博物館」にリニューアルされるとの案内もあります。リニューアル後にどのような展示内容になるのかは不明ですが、一つだけはっきりしているのは、遠路はるばるポーランドまでやってきたにも関わらず、中には入れてもらえそうにないことです。


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