サンフランシスコの都市鉄道「バート (BART)」
[2017年2月]
ベイエリア高速鉄道 (Bay Area Rapid Transit)、略称「バート (BART)」は、サンフランシスコとオークランドやその周辺を含む「サンフランシスコ・ベイエリア」と呼ばれる地域を走る都市鉄道です。1972年に最初の区間が開業、当時最先端であった様々な新機軸が取り入れられ、世界の都市鉄道に大きな影響を与えたと言われています。現在も新路線の建設が続けられています。
バートで使用されている車両は3形式あり、写真の車両はA/B型と呼ばれる最古参型。A/B型は地場カリフォルニアのローア (Rohr) 社製で、最高速度は都市鉄道としてはかなり高速な部類に入る130 km/hです。他にはアルストム製のC型、最新型のボンバルディア製のD型 (試験中) があります。
サンフランシスコ都心部では地下を走り、郊外区間では地上または高架となります。バートはアメリカでも珍しい広軌 (1676 mm) を採用していますが、これは高架区間での強風や地震への対策のためと言われています。一方で、独自性の高い車両規格を採用したことで、車両の製造や保守のコスト上昇を招く結果ともなっています。なお現在建設中の新路線 (eBART) では標準軌が採用され、スイス・シュタッドラー (Stadler) 社製の気動車が投入される予定です。
現在のBARTの路線網は4路線、5系統。週末には運行本数が減らされ、時間帯によっては全く列車が来ない系統もありますが、途中駅で異系統同士で相互乗り換えができるよう、停車時間のタイミングが合わせられています (Timed Transfer)。タイミングが合わせられた駅は上下線で異なっているため、あらかじめ注意が必要です。
サンフランシスコ中心部から列車を乗り継いで、北の終点、リッチモンド (Richmond)に到着。バートには自動運転を行っていますが、ドアの開閉等を担当する保安要員が乗車しています。
リッチモンド駅にはアムトラックの駅も併設されています。バートのイーストベイ (ベイエリアの東側地域) を走る区間では、大半がアムトラックのルートとほぼ並走していますが、接続が可能な駅はこの駅とコリセアム (Coliseum) 駅の二つのみです。