海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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パーム・ジュメイラ・モノレール

[2014年1月]

ドバイには、都市鉄道の「ドバイメトロ (Dubai Metro)」のほかにも、短区間ながらモノレールも運行されています。「パーム・ジュメイラ・モノレール (Palm Jumeirah Monorail)」と呼ばれるこのモノレールは、ヤシの木の形をした別荘地用の人工島「パーム・ジュメイラ」へのアクセス路線として建設されたもので、中東では唯一のモノレールとのこと。現在はまだ部分開業の状態で、メトロの駅とも接続されておらず、乗りに行くのもかなり不便。がんばって訪問してみることにします。

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最寄のメトロの駅はドバイ・インターネット・シティ (Dubai Internet City) 駅で、モノレールが延伸された際に接続される予定の駅ともなっています。モノレールの基点となるゲートウェイ (Gateway) 駅までは、直線距離でも約2 km。普段のドバイの気温なら、まず徒歩で行こうとは思わない距離ですが、今回訪問した時期が、幸いにしてドバイで最も涼しい季節で、この日も気温は約25℃。せっかくだからと歩いていってみることにします。


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しかし、ドバイ全体が徒歩移動をあまり考慮した街造りになっていないため、道が結構入り組んでおり、なかなかゲートウェイ駅に辿り着きません。目当ての建物がどれなのかも分からず、歩きながら少々不安になってきます。


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そのうち、工事現場に行く手を阻まれ右往左往。現場で働いていた親切な作業員に助けてもらいながら、それでも何とか駅に近づいていきます。何の工事現場かと思っていたら、何と路面電車の建設現場。「アル・スフォー・トラム (Al Sufouh Tram)」と呼ばれる路面電車で、2014年に営業開始予定とのことです (※開業後の様子はこちら)。仏アルストム社の地上集電方式APSが採用されており、架線柱が無い代わりにレールの間に給電用の設備があるのがわかります。


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そんなこんなで、メトロの駅から40分ほど掛かって、何とか辿り着いたモノレールのゲートウェイ駅。この巨大なビルは、もともとショッピングセンターか何かとして建設されたようですが、建設が途中で止まっているようで、見た目はほとんど廃墟。建物内も陰鬱としており、少々不気味な感じです。


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ビルからすこしだけ伸びたモノレールの線路。延伸に向けての準備工事と推測されますが、見たところ延伸計画は全く進んでいないようです。前述の路面電車が開業すれば、あえてわざわざモノレールの延伸をする必要もないということでしょうか。


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駅の雰囲気はメトロの駅と似たような感じ。自動券売機で切符を買おうとすると、係員に「券売機はお釣りがでないよ」と言われ、窓口で購入します。料金は片道15ディルハム (約420円)、往復券だと25ディルハム (約700円) で、メトロの安価な運賃を考えると、随分高いように思います。なお、メトロの乗車券「ノル・カード」はここでは使用できません。


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モノレールには4つの駅がありますが、途中の2駅は営業していないので、起点と終点を往復するだけの単純な行程です。


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メトロの駅に似た、スクリーン式のホームドアがあるプラットホーム。見たところ、乗客は「わざわざモノレールに乗りに来た」感じの物見遊山の観光客ばかり。考えてみれば、別荘地の居住者やパーム・ジュメイラに滞在するリゾート客の方々は、モノレールなど使わず自動車で移動しそうなもので、このモノレールがどういう乗客を想定していたのか、ちょっと謎です。


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自動運転のため車両には運転台がなく、最前部からの展望も楽しめます。写真の左奥の方が、前述の延伸準備工事部分で、それとは別に、右奥にビルの奥深くへ伸びていく線路が見えます。車両の保守などをその先で行っているのかもしれませんが、残念ながら、ここからでは良く見えません。


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メトロと同じく、このモノレールも日本企業が中心となって進めたプロジェクト。日立式モノレールのシステムが採用されています。


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自動運転システムの仕様なのか、未開業の途中駅でも列車は一旦停車します (ドアは開きません)。見たところ、未開業駅も施設はほぼ完成しているようですが、駅周辺の開発が計画通りに進んでいないため、利用客が見込めずに開業を見合わせているような感じです。


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全区間が複線となっていますが、利用客が少ないため、現在は一本の車両で1時間に2、3往復のピストン運行をしているだけで、設備能力を完全に持て余しています。延伸計画もいつ実現するのか分からず、当面はこの状態が続きそうです。


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車窓はそれなりに綺麗ですが、有名な「ヤシの木の形」は、モノレールの高架橋の高さ程度では、その形は良く分かりません。


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パーム・ジュメイラの高級ホテル「アトランティス・ザ・パーム (Atlantis The Palm)」が見えてくると、モノレールの旅はまもなく終了。所要時間は約9分です。


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終点のアトランティス・アクアヴェンチャー (Atlantis Aquaventure) 駅に停車するモノレールの車両。車両の外観やサイズは、沖縄のゆいレールに似ています。


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この駅はパーム・ジュメイラの先端に位置しており、線路は海に向かって途切れています。なんだか全体的に中途半端な存在のこのモノレール、仮に延伸計画が実現しても、先行きがかなり不安な気もします。


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