海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ホーチミン ~ ニャチャン : 寝台列車とループ線の駅

[2011年10月]

ホーチミンから北東へ約400 km、ビーチリゾートで有名な観光都市、ニャチャン (Nha Trang) へ向かいます。ここを目的地としたのは、普通鉄道では珍しいニャチャン駅の特殊構造「バルーンループ線」を見に行くためです。ベトナム南北線 (統一鉄道) では、郊外を走る本線を市内に引き込むため、別に支線を建設した例や、スイッチバック構造とした例などがありますが、ニャチャンでは本線自体を無理やりΩ型に湾曲させて市内に引き込むという、他に例を見ない強引な手法を採用しています。今回は、このニャチャンまで、寝台列車で往復してみることにします。

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まずはサイゴン発ニャチャン行きの夜行、SNT2列車に乗車。この区間にはかつて「ファイブスター・エクスプレス」という豪華列車が運行されていましたが、2006年の登場後、数年も経たずに廃止。その後はサイゴン~クイニョン (Quy Nhơn) 間の寝台列車を運行する「ゴールデン・トレインズ」に吸収・統合され、「ブルー・トレイン」という名の豪華寝台列車となりましたが、現在はその「ゴールデン・トレインズ」の存在もうやむやになり、かつての豪華車両を使用した普通の寝台列車 (?) になっているようです (このあたりの経緯はやや不正確かもしれません)。


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SNT2列車に連結されている「ブルー・トレイン」塗色のA2T形 (二階建てソフトシート車)。SNT2列車の編成は、ニャチャン方から順に、HC (食堂車) - A2T (二階建てソフトシート車) - BN (ハードベッド車) x2両 - AN (ソフトベッド車) x6両 - CVPĐ (乗務員居住区+電源車) という、上級車両主体の構成です。リゾート地に向かう列車だけあって、外国人観光客も大勢乗車しています。


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「ブルー・トレイン」塗色の車両に加え、標準色の車両も混結されています。塗色は異なっても、内装は差がありません。徐々に「ブルー・トレイン」色から標準色に戻されつつあるようです。


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こちらは「ブルー・トレイン」塗色のAN (ソフトベッド車)。「ブルー・トレイン」と言いながら、車体色があまり青くないのはご愛嬌。


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一方、隣のホームにはクイニョン行きSQN2列車が停車中。写真の車両は「ゴールデン・トレインズ」塗色ですが、このSQN2列車も一般色との混合編成です。非冷房ハードシートの「ゴールデン・トレインズ」塗色の車両も連結されており、名前と車内設備に随分とギャップがあります。


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ニャチャン行きSNT2列車の牽引機は、D13E形ディーゼル機関車。インド製の中型機です。


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車内に入ります。今回はソフトベッド車に乗車。デッキも木目調の壁にリニューアルされており清潔感があります。


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寝台もなかなか豪華。快適な旅が楽しめそうな雰囲気です。窓上のビデオモニターが寝台車には全く余計な設備に思えますが、ベトナムの上級車両では設置されている割合が高いようです。


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列車はサイゴン駅を定時の20時ちょうどに発車。ニャチャン到着は翌朝5時過ぎの予定です。同室はベトナム人の中年女性が1人。もちろん言葉も通じないので早々にベッドに入って眠りに就きます。


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気がつくと時刻は夜中の2時半。列車は、時刻表にも載っていない駅 (信号場) で停車しています。運転停車だろうと思っていたのですが、全く動き出す気配がありません。そのうち後続列車にも追い抜かれ、何だか様子が変です。ニャチャン到着後は約2時間半で折り返し列車に乗車予定なので、あまり遅れるとまずいことになります。何せ、折り返し列車を逃すと、次の列車まで8時間待ちです。機関車が故障でもしたのかとも思いましたが…。


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随分長い間停車した後でようやく列車は運転を再開。列車がどこを走っているのか見当もつかず、何分遅れているのか全く分かりません。「折り返し列車に間に合わないかも」と、不安な夜を過ごした後、ようやく唯一の途中停車駅タップチャム (Tháp Chăm) に到着。時刻は朝の5時半で、定刻から2時間遅れのようです。あたりはすっかり明るくなっています。


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タップチャムの後はもう途中停車駅は無いため、これ以上遅れが拡がらなければ、何とか折り返し列車に間に合う計算です。もう一回運転停車でもされたら万事休す。祈るような気持ちでニャチャン到着を待ちます。「ニャチャン~♪」と歌うBGMとともに流れる車内放送で到着が近いことが分かり、ようやく一息つきます。


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進行方向左側の車窓に、ハノイ方面からの本線が合流。ここがニャチャン駅のバルーンループ構造の根もとです。


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ニャチャンには、2時間遅れのまま7時過ぎに到着。折り返しのハノイ発サイゴン行きSE7列車は7時42分発なので、滞在時間は30分しかありません。


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夜中に「故障したのか?」とも疑った牽引機は、終点ニャチャンまで何食わぬ顔をしてそのまま牽引を続けていました。結局、2時間遅れの原因は何だったのか…。


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ニャチャン駅の駅舎。30分では何もできず、ただ駅前をうろうろします。もっとも、列車が時刻表通りに着いたところで、2時間半ではできることも限られてはいましたが。


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駅の向かいの広場で開催されていた、共産党系の団体の何かのイベント。とりあえず、写真を一枚だけ撮ります。今回のニャチャン旅行唯一の思い出です。


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折り返しのSE7列車は10分程度の遅れでニャチャンに到着。往路のSNT2列車と同方向から駅に進入します。牽引機は、ベトナム鉄道主力の中国製D19E形ディーゼル機関車。


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SE7列車では、終点サイゴンまでずっと昼間を過ごすことになりますが、行きと同じくソフトベッド車を予約。同一等級の車両ながら「元」豪華列車とは異なり、随分質素な車内です。


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行きと帰りで同じソフトベッド車でありながら、こちらの列車のほうが微妙に切符の値段が安かったのですが、車内を見て「ああ、なるほど…」と納得。同室はベトナム人の若い男性。言葉は通じませんが、閉まったら中々開かない個室のドアを2人で協力して開けたりと、多少ながらのコミュニケーションを交わします。


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列車はニャチャン駅を発車。いよいよ「バルーンループ」を通っていきます。身もふたも無いことを言ってしまえば、列車に乗っている限りは普通に市街地を抜けていくだけなので、ループだか何だかよく分かりません。


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ループの根もと付近で、列車は再びニャチャン駅近傍を通過。写真に見えているのは、ニャチャン駅に停車したままの、行きがけに乗ってきたSNT2列車の車両です。


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ハノイ方面へ向かう線路と別れ、再びサイゴンへ向かいます。あっという間のニャチャン滞在終了です。


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快晴の空の下を快調に走り抜けていくSE7列車。機関車が強力なせいか、スピードも結構速い一方で、時々「脱線するのでは?」と思うほどに激しく揺れます。窓が汚いながらも綺麗な景色が車窓を流れますが、夜にあまり眠れなかった分だけ激しい睡魔が…。


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勿体ないことに帰路はほとんどを寝て過ごしてしまいましたが、何とか無事にサイゴン駅帰着。終わり良ければ全て良し、ということにします。


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