海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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シカゴの通勤鉄道「メトラ」・BNSF線とME線

[2014年7月]

アメリカのいくつかの大都市では、通勤鉄道 (コミューター・レール) と呼ばれる近郊鉄道路線があり、ここシカゴにも「メトラ (Metra)」と呼ばれる通勤鉄道が走っています。メトラは11路線あり、利用客数はニューヨークに次いでアメリカ第2位です。今回はその中でも特徴的な2路線、BNSF線とME線に乗車してみます。

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最初はBNSF線。シカゴ最大のターミナル駅であるユニオン駅から発着しています。ユニオン駅からはメトラの6路線に加えて、アムトラックの長距離列車も発着しています。プラットホームは地下化されており、地上部には巨大なビルのみが存在します。


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高い天井が印象的なコンコース。待合スペースとして使われています。


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頭端式のホームで発車を待つBNSF線の列車。他の多くのメトラの路線と同じく、日本車両製の2階建て客車が使用されています。最後尾の車両には運転台も設けられており、機回しをせずに推進運転ができるようになっています。


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この列車の牽引機はF40PHM-2形機関車。乗客から騒音を遠ざけるためか、すべての列車の機関車は頭端ホームの先端側に連結されています。


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BNSF線の大きな特徴は、メトラ各路線の中で利用客数が最大であることと、他の多くの路線がメトラの子会社による実質的な直営であるのに対して、この路線は貨物鉄道会社BNSFへ運営が委託されていることです。車両にもBNSF RAILWAYと社名が書かれており、他の路線とは区別されています。メトラでは他にも3路線で貨物鉄道会社ユニオン・パシフィックへの運営委託が実施されています。


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ユニオン駅を発車した列車は、すぐに地上へ。たくさんの線路が並走し、ユニオン駅の巨大さを改めて認識させられます。窓ガラスに色が入れられており、見える景色も緑色です。


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市中心部を抜けると列車の速度も上がり快調な走りとなりますが、今回は時間の都合上、わずか3つ目のシセロ (Cicero) 駅で下車します。他の多くの駅と同じく、無人駅です。


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BNSF線は長編成の列車が多いのですが、逆に駅のホームは列車より短い場合が多く、ここシセロ駅でも後部2両がホーム外へ。乗車位置に気をつけておかないと、下車し損ねる可能性があります。


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シセロ駅には貨物基地が併設されており、旅客ホームの隣にもBNSFの貨物列車が停まっています。BNSFはバーリントン・ノーザン鉄道とサンタ・フェ鉄道が合併してできた会社で、社名は合併前の2社の頭文字に由来しています。貨物鉄道会社としての規模はアメリカ国内で第2位です (第1位はユニオン・パシフィック)。


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BNSF線の列車は、利用客分散のため停車駅のパターンがいくつが設定されており、シセロ駅を通過する列車もあります。


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折り返し乗車するユニオン駅行きの列車が到着。客車側が先頭に立った推進運転です。無人駅から乗車する場合は、乗車券は車内で車掌から購入することになります。


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改めて車内を観察。ギャラリーカーと呼ばれる2階建て構造で、1階部分には2人掛けの転換式のクロスシートが並びます。


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2階部分には両脇に1人掛けシートが並び、中央部分は吹き抜けとなっています。車掌が検札に来たとき、ここから切符を差し出します。


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高層ビル群が近づき、ユニオン駅にまもなく到着。正面には、近年までアメリカで一番高いビルとして知られたウィリス・タワー (旧シアーズ・タワー) が見えます。


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ところ変わって、こちらはメトラのME線が発着するミレニアム駅の地下コンコース。ミレニアム駅は駅舎部分も含めて完全地下化されているため、地上には駅関連施設がありません。事前に調べておかないと、入り口が分からず辿り着けない恐れも。


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ME線は、正式名をメトラ・エレクトリック・ディストリクトと言います。その名が示すとおり、メトラで唯一の架線式電化路線で、他路線と異なり全列車が電車で運行されています。電車には2形式あり、手前側の2本が旧セントルイス車両会社またはボンバルディアにより製造された車両で、奥に少しだけ見える、前出の客車に良く似た車両が日本車両製です。どちらも2階建てで、ハイライナーと呼ばれています。


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座席の形状は異なりますが、2階建てで中央部が吹き抜けとなった構造は、他路線の客車列車と同じです。


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2形式の電車は、いずれも全車に運転台が設けられ、2両1ユニットを複数繋いで長編成を組んでいます。異形式同士の混結は行われていないようです。


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今回も時間の都合上、わずか4つめのマコーミック・プレイス (McCormick Place) 駅で下車。巨大な国際コンベンションセンターに併設された駅ですが、駅の利用者はそれほど多いわけではなく、切符の自動券売機のみが置かれた無人駅となっています。


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ME線は、利用客数こそ前出のBNSF線にかないませんが、運行本数はメトラの各路線で最も多く、一部区間は複々線となっています (複々線が必要なほど本数が多いとも思えませんが)。またME線の線路には、隣のインディアナ州とを結ぶインターアーバン (都市間列車) のサウスショアー線 (South Shore Line) の列車も乗り入れています。サウスショアー線は、郊外に併用軌道区間も存在するなど、趣味的に興味深い路線ではありますが、今回は残念ながら通過列車を見るだけ。


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