観光用シュガートレイン・橋頭糖廠「五分車之旅」
[2010年5月]
かつては台湾中に路線が張り巡らされていた「シュガートレイン (さとうきび運搬鉄道)」。輸送手段のトラックへの代替と、製糖産業自体の斜陽化により廃れる一方でしたが、近年、その一部が観光用トロッコ列車として復活しています。今回はその一つ、高雄市近郊の橋頭糖廠「五分車之旅」に乗ってみます。
橋頭糖廠は、いくつかある観光用シュガートレインのうち、最も交通が至便とされています。以前より台鉄 (台湾国鉄) の橋頭駅から徒歩で来ることができましたが、2008年には高雄捷運 (地下鉄) の橋頭糖廠駅が開業、ますます便利になりました。
橋頭糖廠駅のすぐ隣に「五分車のりば」はあります。「五分車」とは、線路幅762 mmの軽便鉄道のことで、線路幅が標準軌 (1435 mm) の約半分であるところからきています。ほどなく列車が入線し、小学校の遠足と思しき集団が大量に下車してきます。彼らとバッティングしなくて一安心。
こちらが橋頭糖廠の「五分車」。運行は土日祝日のみで一日6.5往復です。今回乗車する16:30発の列車が最終運行となります。
折り返しの手間を省くため、機関車2両に挟まれたプッシュプル方式で運行されています。
運転台の様子。
乗車する「客車」はこんな感じ。瓦葺き風に作られた屋根がかわいらしいです。
中央部にベンチが一つの簡素な「客室」です。
すぐ脇には台鉄の西部幹線、頭上には高雄捷運の高架橋。ある意味ここは鉄道のターミナル駅です。
10両編成の客車にそれぞれ一グループずつ、程よい数の乗客を乗せ、列車は走り始めます。高雄捷運の高架橋が遠ざかってゆきます。
線路沿いにはサイクリングロードがあり、自転車に乗った観光客と手を振り合いながら列車の旅を楽しみます。スピードは自転車と似たり寄ったりですが。
ミニ列車のミニ旅行は10分程度で終わり、終点・花卉農園中心駅に到着します。
列車は20分の停車の後、起点の糖廠捷運站駅に向けて折り返します。それがこの日の最終列車。私もたった20分の滞在で、花卉農園中心を後にします。
花卉農園中心の駅前 (?) にある、かつてシュガートレインで使われていた蒸気機関車。このような機関車がさとうきびを満載した列車を牽引する姿、一度見てみたかったものです。