海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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香港 ~ 広州間の直通列車・「Ktt (九廣通)」編

[2010年8月]

香港・九龍と中国・広州の間には、行政区の境界を跨いで走る直通列車、通称「広九直通車」が運行されています。広九直通車は現在、毎日12往復運行されており、うち3往復に香港側 (MTR) 所有の「Ktt (KCR through train、九廣通)」、残り9往復に中国側 (広深鉄路公司) 所有の「準高速」という車両がそれぞれ使われています。 なお現在、広州~深圳~香港を結ぶ高速新線「広深港高速鉄路」の建設が、2015年の開業を目指して進められています。Kttや準高速は、新線開業と引き換えに廃止される可能性が高いと思われます。

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香港側のターミナル、紅磡 (ホンハム) 駅で発車を待つKtt。2両のスイス製電気機関車Re460と日本の近畿車輛製客車から構成されるプッシュプル編成です。実質1編成のみの存在で、特に機関車には予備車がなく、検査時等は単機牽引で運行される場合もあるとのこと (その際はダイヤも少し遅れるようです)。機関車・客車ともに、今年開催される広州アジア大会の全面広告が施されています。


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客車はすべて2階建て。座席は特等と一等の2クラス制となっています (「準高速」は一等のみ)。しかし、この広告塗装、アジア大会のPRというより企業広告の色彩が強いようです。


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広九直通車は、「国際列車」に準じた扱いとされているため、乗車と下車の際にはイミグレを通る必要があり、ホームも専用のものが設けられています。この専用ホームは、北京や上海からの長距離直通列車にも使用されており、ちょうど発車を待っている間、ホーム向かい側に運よく上海からの列車が到着。北京発着と上海発着が一日おきに運転されています。


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各車の入り口で待機している乗務員に切符を見せ、乗車します。今回は特等車両に乗車してみます。


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香港特別行政区域内の区間は、MTR東鉄線の通勤列車と線路を共用しているため、過密ダイヤの関係上スピードが出せず、かなりのノロノロ運転となります。


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列車は自然豊かな香港の郊外区間へ。まだノロノロ運転です。空模様が怪しくなってきました。


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紅磡発車から40分を経過し、残念ながら雨も降り出した頃、ようやく境界を越えて、深圳の駅へ到達。ようやくここから中国大陸側区間です。なお広九直通車はこの駅には停車せず、そのまま走り続けます。


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雨の深圳市内を引き続きゆっくり走ります。なかなかスピードが上がりません。


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香港 ~ 広州の中国側の区間、いわゆる「広深線」では、最近はCRH1型ばかりが目につくようになってしまいましたが、途中に点在する車両基地には、中国らしい客車がたくさん止まっているのを目にすることができます。


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遠目には電気機関車やディーゼル機関車も。中国大陸側に入ってしばらくたった頃、列車はようやくスピードを上げ、快調に走り始めます。


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唯一の途中停車駅である、東莞駅に到着。やはり若干遅れ気味です。そこそこ大きな街ですが、乗る人も降りる人もほとんどいません。この駅の出入境管理の係員は暇をもてあましているでしょう。


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今回乗車した特等車両の2階席の様子。1-2列配置の重厚なシートですが、方向固定で、リクライニングもしません。なお、かつては特等車両のみドリンクサービスがあったとのことですが、今は一本のペットボトルの水が配られるだけになってしまったようです。


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デッキ付近はきらびやかな造り。少々金ピカ趣味が過ぎるような気もしますが、発注した香港側、製造した日本側、どちらの意向なのかは謎です。


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終点・広州東駅には5分ほど遅れて到着。このホームもやはり香港行き列車専用で、向かい側には発車を待つ香港行き「準高速」の姿も見えます。


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もともと列車別改札が基本の中国において、さらに国際列車扱いの厳しい管理下とあっては、ホームでの写真撮影はあまり自由にできる雰囲気ではありません (少しくらいなら大目に見てもらえますが)。側面の様子だけ少し撮影して、ホームを後にします。


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