バンドゥルマ ~ イズミル : 昼行客車列車の旅
[2024年5月]
イスタンブールから船でマルマラ海を渡り、バンドゥルマ (Bandırma) へやってきました。ここから更に列車に乗り継いで、トルコ第三の都市イズミル (İzmir) に向かいます。
フェリーターミナルから徒歩数分のところにあるバンドゥルマ駅。時刻表などでは「バンドゥルマ・シェヒル (Bandırma Şehir) 駅」と案内されることが多いですが、基本的には同じ駅を指しています。
出札口と待合室、トイレだけの簡素な駅舎内。食堂も併設されてますが、長らく営業していないようです。
ホームは頭端式の2面3線。イズミルからの列車がちょうど到着したところです。客車3両編成で、機関車を最後尾として、推進運転で入線してきましたが、これは折り返しに備えてあらかじめ機回しを行ったという訳ではありません (理由は後述)。乗客を降ろした後は、一旦留置線へ引き上げていきます。
駅構内には静態保存の蒸気機関車の展示も。
バンドゥルマ駅の長いプラットホーム。以前はより長大な編成が発着していたのでしょう。
これから乗車する、イズミル行き「9月6日急行 (アルトゥ・エイリュル・エクスプレシ 6 Eylül Ekspresi)」が入線。先ほどイズミルから到着した列車と同じ客車が使われています。牽引機は韓国・現代ロテムからライセンスを受け国内製造されたE68000型電気機関車。列車は機関車を先頭に頭端式ホームにそのまま進入してきます。
客車は「プルマン車」と呼ばれる座席車のみの3両編成。
「9月6日急行」の行き先表示。バンドゥルマ ~ イズミル間は、姉妹列車の「9月17日急行 (オンイェディ・エイリュル・エクスプレシ 17 Eylül Ekspresi)」と合わせて毎日2往復が設定されています。朝にイズミルを発ち、夕方にバンドゥルマから折り返すのが「9月6日急行」、逆に朝にバンドゥルマを出発し、夕方にイズミルから折り返すのが「9月17日急行」です。
車内に入ります。「プルマン車」の座席は1+2の3列。座席は方向転換が可能ですが、出発時は後ろ向きにセットされています。機関車を先頭に頭端式ホームに入線したこととあわせて、何となくその「理由」に思い至ります。
プルマン車の座席。窓枠とシートピッチは合わせられてますが、窓間の柱の幅が広いため、ハズレ席だとだいぶ車窓が制限されてしまいます。最近の要望に応じてか、車肘掛けの下にはコンセントが設置されています。座り心地は若干堅めで、シートピッチもそれほど大きくないため、居住性は並程度です。
列車はこの駅から、「後ろ向き」に出発します。
推進運転でゆっくりと数分間走行した後、列車は一旦停車。ここはバンドゥルマ駅として最初に開業した「旧駅」です。後に近くに港が開業した際、現在のバンドゥルマ・シェヒル駅までが延長開業しましたが、線形の都合から延長区間は旧駅でスイッチバックして進入する構造になりました。これが出発時に進行方向が逆向きになっていた理由です。なおこの旧駅では現在は客扱いは行われていません。
「旧駅」で方向転換し、本来の進行方向を向いた列車は、快調に飛ばしていきます。バンドゥルマを発ってしばらくは、平原地帯を走ります。進行方向右手には、トルコ空軍の基地や、沿線最大の湖などを見ることができます。
移動手段としては長距離バス利用が主体のトルコですが、この列車の利用率もなかなか高く、ほとんどの席が埋まっています。途中駅での入れ替わりも結構あります。一方、以前は車内販売も行われていたようですが、現在は特に車内サービスは行われていません。途中停車駅で食料や飲み物を買い込むのも難しいので、乗車前の準備が肝心です。
途中には山越えの区間もあります。
バンドゥルマ行きの姉妹列車「9月17日急行」と行き違い。
バンドゥルマを出発して約6時間、列車はほぼ定刻に終点のイズミル・バスマネ (Basmane) 駅に到着。バスマネ駅到着直前には複線同士の平面交差を通過するので、興味がある方は窓の外に目を凝らしておきましょう。
バスマネ駅も頭端式です。