海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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イスタンブール ~ アンカラ : 寝台列車「アンカラ・エクスプレス」

[2008年1月]

トルコ最大の都市イスタンブールと首都アンカラを結ぶ路線は、トルコ国鉄 (TCDD) で最重要な幹線で、毎日昼夜合わせて7~9往復の客車列車が運行されています。今回紹介するのは、複数ある夜行列車の中でも唯一の全車寝台列車である「アンカラ・エクプスレス (Ankara Ekspresi)」。イスタンブール ~ アンカラ間を約9時間30分で結んでいます。

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出発駅は、イスタンブールのアジア側ターミナルである、ハイダルパシャ (Haydarpaşa) 駅です。


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長距離列車用ホームには改札口は無く、構内へは自由に出入りすることができます。


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アンカラ・エクスプレスは、はしっこの9番のりばからの出発。発車時刻は22:30ですが、発車2時間前にはすでに入線しています。乗車開始は発車の1時間前からです。


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牽引機はE43000形電気機関車。オリジナルは東芝製で、後期に製造された車両はトルコ国内でライセンス生産されています。もともとは貨物用として開発され、最高速度も90 km/hでしたが、旅客用は歯数比を変更し、最高速度が120 km/hに引き上げられています。一方、イスタンブール ~ アンカラ間は全区間電化されているものの、複線区間は大都市近郊のわずかな距離のみとなっています。


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列車は、個室寝台車8両と食堂車のみから構成される豪華編成です。90年代に登場したトルコ国産の新系列客車「TVS2000系」が使用されています。車体にはトルコ語で寝台車を表す「ヤタクル・ヴァゴン (Yataklı Vagon)」との表記があります。


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個室寝台車の車体に書かれたUIC式の車両記号。ヨーロッパの個室寝台車は一等・ニ等兼用 (車体記号はWLAB) のものが多いですが、この車両は一等専用 (WLA) です。最高速度は160 km/h。


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アンカラ・エクスプレスのサボ。列車名をトルコ語の発音により忠実に読めば、「アンカラ・エクスプレシ」となります。


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食堂車。発車直後から深夜2時頃まで営業しています。朝食も食べることができます。食堂車にはトルコ語で「イェメクリ・ヴァゴン (Yemekli Vagon)」と表記されています。


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この時間帯のハイダルパシャ駅では、他にも長距離列車を見ることができます。こちらは別のホームに停車中の23:50発アンカラ行き「ファーティフ・エクスプレス (Fatih Ekspresi)」。アンカラ・エクスプレスとは異なり、こちらは座席車主体の夜行列車です。


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同じく座席車主体のアンカラ行き夜行列車、22:00発の「アナドル・エクスプレス (Anadolu Ekspresi)」。発車時刻が近いにも関わらず車内は閑散としており、利用率は高くないようです。なお、アンカラ行き夜行は座席車主体であっても基本的に食堂車が連結されています。


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回送で入線してきた3扉型の少し古めかしい客車は、ハイダルパシャから140 km離れた都市、アダパザル (Adapazarı) までを結ぶ「アダパザル・エクスプレス (Adapazarı Ekspresi)」の客車です。1日11往復運行されています。


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アンカラ・エクスプレスの車内へ入ります。個室寝台が並びます。


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個室寝台の内部。寝台は2段で、座席の背もたれを手前に倒すと、裏面が下段寝台となります。発車前は座席状態にされてますが、発車直後に車掌が寝台をセットアップにやってきます。右側の棚の内部には冷蔵庫もあり、朝食代わりの無料のお菓子と水が置いてあります。窓にはトルコ国旗のシンボルである月と星のマーク。


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洗面所も各部屋に設置されています。


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車端部に共用のシャワー室も付いてます。トイレは車両の前後に二か所ありで、それぞれ洋式と、日本の和式にも似たトルコ式が一か所ずつとなっています。


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少々揺れる車内ではありましたが、快適な個室寝台の旅を堪能した翌朝。外はまだ暗闇ですが、食堂車へ出向いてみると、すでに朝食の準備が始まっています。


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食堂車での朝食を取ります。薄切りのきゅうりやハムが盛られたこのスタイルは、典型的なトルコ式の朝食です。食堂車で朝食を食べながら車窓を眺めるのは、質素ではありますが優雅な時間の過し方です。


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アンカラはイスタンブールより南にありますが、内陸に位置するため冬の寒さは厳しく、明るくなってきた車窓には雪が目立っています。列車の速度は控えめで、速いときでもせいぜい90 km/h程度。このあたりの車窓からは部分開業間近のイスタンブール ~ アンカラ間高速鉄道の線路も時々見えます。イスタンブールまで全区間の開業予定は2009年の予定で、その後は夜行列車の運行にも少なからず影響があるものと思われます。


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アンカラが近づき、駅数が多くなってきます。時々途中駅に停車します。


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ハイダルパシャ発車時は20分遅れでしたが、終点アンカラにはほぼ定刻に到着。


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内陸にあるアンカラは、イスタンブールに比べて格段に寒いです。石畳の豪華なホームは凍って滑りやすいので注意。


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アンカラ駅の駅舎。トルコ国鉄の独特のシンボルマークと相まって、どことなく旧共産圏のような雰囲気があります。


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