海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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バンコク ~ ウボンラーチャターニー:夜行快速でタイ最東端へ

[2023年8月]

バンコクから夜行の快速列車に乗り、タイ国鉄最東端の駅、ウボンラーチャターニー (Ubon Ratchathani) へ向かいます。

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出発は、バンコクの新ターミナルである、アピワット中央駅 (Aphiwat Central Terminal) から。


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アピワット駅は、旧来の国鉄駅であるバーンスー分岐駅 (Bang Sue Junction) に隣接しています。多くの長距離列車は新駅からの発着に移管されましたが、旧ターミナルであるフアランポーン (Hua Lamphong) 発着として残る一部の普通列車などは、引き続きこちらの地上駅を利用しています。


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以前と比べて発着本数が大きく減ったにも関わらず、地上駅の露店は今も営業を続けています。


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アピワット駅に戻ります。この駅は、今後開通する高速鉄道も接続予定の巨大ターミナル駅として設計されており、コンコースも非常に広大です。SRTレッドラインの乗車口が駅の南端にあるのに対し、長距離列車の乗車口は逆の北端にあり、両者の間はかなり距離があります。


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タイ国鉄の駅は基本的に改札がなく、ホームへの出入りも自由なのですが、この駅では例外的に列車別改札が行われており、発車の20分にならないと入場することができません。ホーム毎に入口も分かれているので、隣のホームから列車を撮影、ということも事実上不可能です。


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という訳で、改札が始まったときは既に乗車予定の列車も入線済です。今回乗車するのは、19:25発の寝台付き快速139列車。ウボン方面への夜行列車は毎日3本運転され、この列車の他に、中国製新型客車による特急23列車と、従来型客車の寝台なし快速141列車があります。牽引機は最新型の中国製QSY型 (5200形)。アピワット駅構内での排ガス滞留抑制のため、原則的に本駅発着列車には最新の排ガス規制に適合した本形式が優先的に充当されています。


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機関車の次位は荷物車。


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こちらのロングシート型三等車は、乗務員控室兼荷物車、という感じでしょうか。


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夜行列車とは言え大半の客車が座席車です。残念ながら食堂車は連結されていません。コロナ禍で営業が休止された後、こちらもアピワット駅構内での排ガス滞留の問題から、車上調理式の食堂車は原則廃止されたとのこと (中国製新型客車だけは食堂車も電子レンジ調理なので営業継続中)。駅待合室の売店で弁当を買っておけばよかったと思っても、列車別改札のため改札外に出ることもできず、後の祭り。どうもこの駅の開業は嬉しくない影響が大きいです…。


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三等座席車。ボックスシートでの一晩の旅は疲れそうです。


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寝台車は冷房付きの二等寝台が編成後端に二両連結。乗車する最後尾の車両は日本製のANS1000形客車です。


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車内は線路方向に寝台が並ぶ、いわゆるプルマン式。日本ではA寝台のイメージが強い形態なので、ちょっと贅沢な印象も受けます。枕木方向の寝台と比べると列車の左右の揺れを感じにくいため、寝心地も良好です。また全ての車両ではないですが、最近の要望に応じてか、スマホ充電も可能なコンセントが一部の座席ひじ掛け通路側に設けられています。


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上段は窓が無いのが難点。これだとあんまり乗りたくないな…という印象です。


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通路には上段への梯子を兼ねた荷物棚があります。どうも地元のタイ人は履物を荷物置き場に乗せるというのがマナーみたいになってるようです。荷物が置けず少々邪魔なんですが…。なお、乗客は地元タイ人がほとんどで、外国人観光客はかなり少なめ。おそらく観光客は後続の中国製寝台特急を選ぶ場合が多いと思われます。


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列車が停まるホームは駅の一番端で、車窓は殺風景。夜行列車の旅の始まりとしては少々味気ないものがあります。時刻は寝るには少々早いですが、食堂車もなく、することもあまりないので、早々に寝入ってしまうことにします。


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快適な寝心地で熟睡した後、目が覚めたのは朝の5時頃。シーサケート (Si Sa Ket) の手前くらいです。既に降りてしまった方も多数いるようで、寝台にも空席が目立っています。私の直上の寝台の方も、途中駅で乗ってきて、目が覚めると既に下車済み。比較的短距離での寝台利用も意外と多そうです。


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だんだん夜が明けてきました。


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車窓には田園風景が広がります。


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朝の6時過ぎ、列車は終点のウボンラーチャターニーに到着。途中区間ではやや遅れも見られましたが、終点にはほぼ定刻の到着です。バンコクから約9時間の快適な旅でした。


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ほどなく、反対方面のナコーンラーチャシーマー (Nakhon Ratchasima) 行き6:20発、地方428列車が出発。


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出発時のアピワット駅ではよく見ることができなかった、各客車を少し見て回ることにします。最後尾は今回乗車した日本製ANS1000形冷房付き二等寝台車。乗降口にあるトラ柄の板は高床ホーム用の可動式ステップです。


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2両ある寝台車のうち、もう一両はほぼ同型の韓国製車両。


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二等座席車BSC形も連結。


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国鉄10系似の三等座席車BTC1000形も複数。


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ウボンラーチャターニー駅の駅舎。上述の通りこの駅はタイ国鉄の最東端にあたりますが、カンボジアとの国境まではまだ70 kmほどの距離があります。タイの北部や東部の他の終着駅としては、観光都市チェンマイ (Chiang Mai)、ラオスと国境を接するノーンカーイ (Nong Khai)、カンボジア国境のアランヤプラテート (Aranyaprathet) がありますが、それらと比較すると、当駅は目的地としては若干地味な存在かもしれません。


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