海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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フアランポーン駅に残る普通列車とSRTレッドライン

[2023年8月]

長年、首都バンコクの鉄道の玄関口として親しまれてきたフアランポーン (Hua Lamphong) 駅。2021年に新ターミナルのアピワット中央駅 (Aphiwat Central Terminal) が開業し、2023年1月には大半の長距離列車が新ターミナルの発着に改められましたが、普通列車はまだ一部が当駅発着のまま残されています。将来的には駅の廃止も予定される中、今も僅かに残る当駅始発の普通列車に乗ってみることにします。併せて新規開業した通勤路線「SRTレッドライン」にも体験乗車します。

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特徴的なドーム屋根の下の広大な待合室。長距離列車の発着がなくなり、以前ほどの活気は感じられないものの、その割にはそこそこ人がいます。


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いくつかの商店は引き続き営業を継続していますが、旅の出発前に時々お世話になっていた、駅構内のフードコートは残念ながら閉店。まあ仕方ありません。


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駅構内の発着線の多くは、今は古い機関車の展示スペースとなっています。この駅全体が将来的に博物館として保存される計画があり、徐々にその準備が進められているのかもしれません。


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端のホームには、日本製のブルトレ客車などから改造された貸切専用の豪華客車「SRTプレステージ」が留置中。2015年に登場したものの、あまり活躍の機会は多くないとも聞きます。見たところ、幸い綺麗には維持されているようです。


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更に端の留置線には、多数の食堂車が休車状態で留め置かれています。コロナ禍の影響で長距離列車の食堂車が休止された後、コロナ禍が明けた現在も、アピワット中央駅での排ガス抑制の観点から、車上調理式の食堂車は原則的に連結が取りやめられたとのこと。車両の状態を見る限り、復活の可能性は低そうです。


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さて、今回乗車する列車はこちら。16:30発のロッブリー (Lopburi) 行き通勤301列車。駅中央のドーム屋根は機関車展示用に明け渡してしまっており、現役列車は端のホームから発着します。


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列車は、オーストラリア製のステンレス製中古客車BTC600形と、それを国鉄10系客車似のBTC1000形が両端を挟んだ形の編成です。


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オーストラリア車はあまり好みでないので、一番前の10系客車へ。機関車はまだ連結されていません。


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10系客車の車内。シート地が濃い青色に改められるなど、内装は若干手を加えられているようです。まだまだ使います、ということでしょうか。


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機関車はおなじみのALS系のAHK型 (4200形)。少し前までタイ国鉄の顔的存在でしたが、最近は中国製の新型機が勢力を伸ばし大分影が薄くなっているようです。


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車内で発車を待ちます。


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列車は定刻にフアランポーン駅を発車。留置線に停まる客車を横目に、列車は進んでいきます。


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しばらく行くと、進行方向右手に、アピワット中央駅から伸びる鉄道の高架橋が見えてきます。


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アピワット中央駅の全景も見えてきました。


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列車は高架のアピワット中央駅には入らず、旧来からの地上駅、バーンスー分岐駅 (Bang Sue Junction) に到着します。両駅は真横に接していますが、両駅間の連絡通路などは無く、乗換客 (もし居れば) は自力で道路を渡って行く必要があります。フアランポーン駅と同じく、こちらの地上駅もまだしばらくは引き続き使用されそうな様子です。


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バーンスーを過ぎると、線路はアピワット中央駅から伸びるレッドラインとも合流します。架線柱が立ち並ぶ近代路線の光景です。


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線路はそのままレッドラインと共に高架区間へ入ります。古めかしい客車列車が真新しい高架路線を快走するのはかなり違和感があります。レッドラインとは方向別複々線となっており、両脇をレッドライン、中央を国鉄の中長距離列車がそれぞれ走ります。ほとんどの途中駅はレッドラインにのみホームが設置されてます。電化設備もレッドラインのみです。


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空港の隣接駅であるドンムアンに到着。ホームはレッドライン用と中長距離列車用とで階が分けられており、かなり規模の大きな駅になっています。


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ドンムアンを過ぎると、こんどは線路別複々線になり、地上へと降ります。


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バンコクからちょうど1時間、ランシット駅に定刻で到着。この駅で下車します。


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バンコク近郊での駅設備近代化において、ホームはいずれも高床式に改められています。低床ホームに対応した構造の旧来の客車には、各車に高床ホーム対応のステップが設置されましたが、2か所ある乗降口の片方にしかなく、他方はステップが無いためホームとの間に広い隙間ができてしまいます。ステップ設置済の乗降口を利用してください、ということなのでしょうが、扉が手動のため、大半の乗客は気にすることなく隙間を飛び越えて…という状態です。


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ランシット駅は、レッドラインの現在の北の終点です。ここからレッドラインに乗って、アピワットまで折り返してみます。しかし、フアランポーンからランシットまでの客車普通列車の運賃が6バーツ (約25円) だったのに対し、ランシットからアピワットまでのレッドラインが実に7倍の42バーツ (175円) とは…。


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ホームは実に広々。お金かかってそうです。


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車両は日立製。メーターゲージながら最高速度145 km/hの高性能車両です。


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真新しい車内は、東南アジアらしいプラスチックの堅いロングシート。新車だけあって乗り心地は非常に良いのですが、堅い椅子はやはり少々辛いです。


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列車はランシットから23分でアピワット中央駅に到着。客車普通列車だとダイヤ上は40分程かかるので (途中のドンムアン駅で数分停まりますが)、やはり本数と時間を考えると利便性は格段の差があります。それにしても運賃の差が7倍とは…客車列車の方が安すぎるのでしょうが。


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アピワット中央駅。建設時の仮称であったバーンスー中央駅 (Bang Sue Grand Station) との名称が掲げられていますが、今後変更されていくのでしょう。


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