海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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バンコク ~ ノーンカーイ ~ タナレーン : 夜行急行とラオス行き国際列車

[2012年8月]

シンガポールから列車を乗り継いで東南アジア4カ国を縦断する旅は、いよいよ最終行程。最後は、バンコクから夜行列車に乗って国境の町ノーンカーイ (Nong Khai) へ、更に国境越えの列車に乗ってラオスに向かいます。

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乗車するのは、バンコク・フアランポーン (Hua Lamphong) 20:00発のノーンカーイ行き急行69列車。ノーンカーイ行きの夜行列車は毎日3往復運行されていますが、鉄道で国境を越える場合は、ラオスのタナレーン (Thanaleng) 行き列車と接続する、この急行69列車が一番便利です。他の2本の夜行列車 (急行77列車と快速133列車) には寝台車が連結されていないので、快適な旅を希望するなら自ずから選択肢は限られます。


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列車は、タイ国鉄の他の長距離列車と同様、様々な等級の車両が混結された編成です。ノーンカーイ方の先頭車から、順番に各客車を観察していきます。まずは荷物車が2両。使用されている車両は、荷物車扱いの三等座席車と、荷物・三等合造車 (写真) が各1両ずつです。


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三等座席車が3両。いずれも国鉄10系似のBTC1000形客車です。


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非冷房の二等寝台車。1両のみの連結。


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食堂車も連結されています。食堂車には冷房付きと冷房無しの車両があり、この急行69列車にも冷房付き車両が連結される日もありますが、この日は冷房無しの車両です。


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ステンレス製の冷房付き二等寝台車ANS1000形。堂々の5両の連結。日本製の初期車と、韓国・大宇重工業製の中期車で混成されていますが、両者は基本設計が同じなので、外観的には見分けが付きません。


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最後尾には、一等寝台車も1両のみ連結。2人用の個室寝台です。


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冷房付き二等寝台車に乗車します。発車時点では寝台はまだセットされていません。乗客は外国人旅行客の割合がかなり高いようで、乗車率も8割程度と結構な人気。発車前の時点で、すでに食堂車のミールオーダーサービスがやってきます。


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列車は、始発のバンコク駅を1時間遅れて発車。接続予定のラオス行き列車は、ノーンカーイ駅で本当に待っててくれるのか少々心配しながら、眠りにつくことにします。


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翌朝、目を覚まして外を見てみると、列車はブアヤイ分岐駅 (Bua Yai Junction) に停車中。夜は明けたというのに、まだノーンカーイまでの行程の半分ほどしか来ていません。寝ている間に遅れは3時間まで拡大したようで、ラオス行き列車への接続にますます不安が募ります。車内では食堂車の朝食サービス (有料) がやってきます。残念ながら、この列車では寝台車まで地元の物売りは来てくれないようです。


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終点までの間に少しは遅延回復に努めてくれるのかと期待しましたが、全くそんな気は無かったようで、終点ノーンカーイには、更に遅れて3時間半遅れで到着。肝心の乗継予定の列車ですが…、ちゃんと待っててくれていました。


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国境越えの列車は一日わずか2往復。地元民や鉄道にこだわりの無い旅行者は、圧倒的に便利なバスや船を使うところでしょう。ところで、タイ国鉄ウェブサイトに掲載の時刻表と、この看板に書かれている列車時刻は大分異なっています。どちらが正しいのか判りませんが、2往復しかない列車を乗り過ごしたら最悪なので、ここは正確を期してほしいところです。おまけに、国名がラオ"Lao PDR"ではなく、"Loa PDR"になってます。そこは間違えたらダメだと思うのですが…。


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駅の窓口でタナレーン行きの切符を買い、あまり緊張感の無いノーンカーイ駅のパスポートコントロールを通ります。窓口が一つしかないので、結構時間がかかりますが、列車が更に遅れても気にしている様子はありません。


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ノーンカーイ発タナレーン行き913列車は、日本製RHN型ディーゼルカーの2両編成。種別はこれでも「急行」です。国境区間の開業当初は、バンコクからの急行列車の一部車両がタナレーンまでそのまま乗り入れてたこともあったようですが、現在はノーンカーイ駅での乗り継ぎになっています。


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乗客は外国人旅行者ばかりで、やはり地元民にはあまり縁が無い存在のようです。座席も1グループがちょうど1区画を占有できるという程度で、2両のディーゼルカーで十分な乗客数です。


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大変遅ればせながら、いよいよラオスへ向けて出発。タナレーンまでの行程は約15分です。


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ラオスへは、道路・鉄道併用橋の「タイ・ラオス友好橋」を通っていきます。鉄道を橋に通すために、ノーンカーイ駅は街外れに移転し、中心部に近かった旧駅は、そこまで向かう線路ごと廃止されました。その廃線跡は、現ノーンカーイ駅発車直後に進行方向右側に見ることができます。


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タイ・ラオス友好橋は、列車が通る際は、一時的に車は通行止めになります。鉄道と道路の合流地点付近では、多数の車が待たされています。


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橋の欄干には一定の間隔で国旗が掲げられていますが、端の中央部付近でタイ国旗からラオス国旗に変わります。恐らくここが国境でしょう。いよいよラオス上陸です。


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列車はほどなく、終点タナレーンに到着。橋中央部の国境からわずか数分、距離にして5 kmあまりですが、これでラオスの鉄道完全走破です。


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タナレーン駅でも、プラットホーム上で出入国管理が行われます。首都ヴィエンチャンまで向かう、タクシーの受付カウンターもホーム上にあります。ヴィエンチャンまでは約20 kmで、タクシー以外の交通機関はありません。値段は、軽トラック改造の開放型が300バーツ (タイバーツで支払、約750円)、ライトバンタイプが400バーツ (約1000円) で、値段設定も外国人向けです。


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何故こんなところに駅をつくったのか? というほど周囲に何もないタナレーン駅。現状はあくまで「暫定開業」で、最終的にはヴィエンチャンまで線路が延伸される予定です。しかし、中国がラオスでの別の鉄道建設計画をぶち上げて延伸計画は一旦中断。その後、中国の計画も頓挫して延伸計画は再開したとか、状況は混乱しているようです。本当に延伸が実現するのかわかりませんが、開業が実現した際には、また乗りに来なければなりません。


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