海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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空港連絡鉄道「エアポート・レール・リンク」

[2011年10月]

バンコク・スワンナプーム国際空港から都心まで、空港連絡鉄道「エアポート・レール・リンク (ARL)」に乗車してみます。計画より数年遅れで、ようやく2010年に開業したこの鉄道、不便との声を多く聞きますが、そこは実際に乗って試してみることにします。

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スワンナプーム国際空港にある、ARLのスワンナプーム (Suvarnabhumi) 駅。各駅停車の「シティ・ライン」と、終点までノンストップの「エクスプレス・ライン」の2種類があり、両社は同じ線路上を走りますが、乗り場が別々になっています。


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路線図では、シティ・ライン (青線) は終点のパヤータイ (Phaya Thai) まで、エクスプレス・ライン (赤線) は途中のマッカサン (Makkasan) までとなっていますが、後にエクスプレス・ラインにもパヤータイ行きが設定されています。途中のフアマーク (Hua Mak) 駅に通過線があり、シティ・ラインの列車は通常ここでエクスプレス・ラインの列車に追い越されます。


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まずは各駅停車のシティ・ラインに乗車。昼間の運行間隔は15分毎です。スワンナプーム駅のホームは地下にあり、スクリーン式のホームドアが設置されています。


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車両はシティ・ライン専用ですが、エクスプレス・ラインともども、シーメンス製の「デジロ (Desiro)」シリーズの、ほぼ共通規格の車両です。


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シティ・ラインは、空港利用客以外の一般旅客の区間利用も見込んでおり、車内は空港連絡鉄道らしからぬロングシートとなっています。空港駅からの乗客はあまり多くありません。


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列車は、空港を出るとすぐに高架区間に入ります。下に見える線路は、タイ国鉄の東本線。もともとARLがタイ国鉄の用地を利用して建設された関係で、この先終点までずっと東本線に沿って走ります。途中駅に停車するたび「SRT (タイ国鉄) は乗り換えです」という案内が流れますが、乗り換えの需要があるのかは甚だ疑問です。


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終点のパヤータイ駅までは、所要時間26分、片道45バーツ (約110円) です。上述の通りシティ・ラインは区間利用客を最初から見込んでいましたが、見たところはまずまずの利用状況です。


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パヤータイ駅は、タイ国鉄東本線の直上に建設されており、真下に線路が見えます。この駅ではスカイレール (BTS) に接続していますが、BTSの他の駅と同様、エスカレーターの設置数が極めて少なく、しかも外部と仕切られていない開放空間でクーラーも無いため、空港利用客が大きな荷物を持って移動するには、あまり親切な構造とは言えません。


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こちらは、パヤータイ駅で発車を待つエクスプレス・ラインの車両。パヤータイ駅では、2面のホームをシティ・ラインと1面ずつ分け合ってそれぞれ専用化しています。エクスプレス・ラインの列車は、パヤータイ発着とマッカサン発着が1時間に各2本ずつ運行されています。パヤータイ発着の列車もマッカサンには停車せず、それぞれ終点までノンストップです。


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パヤータイ発のエクスプレス・ラインの切符は、レトロ感漂う紙製。シティ・ライン全駅と、エクスプレス・ラインのマッカサン駅では、ICトークンを使用した自動改札が導入されていますが、エクスプレス・ラインのスワンナプーム駅とパヤータイ駅では、係員が手できっぷをちぎる手動改札。後から追加されたエクスプレス・ラインのパヤータイ発着はシステムが未対応のようです。料金はマッカサン、パヤータイ両駅ともにスワンナプームまでの片道が90バーツ (約230円) です。


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こちらはエクスプレス・ラインの元来の発着駅であるマッカサン駅。都心と空港とを結ぶ重要拠点として、シティ・エア・ターミナル (CAT) 機能も備えた大規模な駅として建設されましたが、利用率は芳しくなく、構内は閑散としています。地下鉄 (MRT) のペチャブリー (Phetchaburi) 駅と接続しているとされてますが、構外の一般道を歩いて移動する必要があり、余り便利とは言えません。


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マッカサン発のエクスプレス・ラインの車内。居住性の良いクロスシートで、空港連絡列車らしくスーツケース置き場も設置されています。時間帯にもよると思われますが、この列車の利用客は10人程度と、極低調。完全に当てが外れた格好です。まだマッカサン発着列車より、パヤータイ発着列車のほうが幾分客が多いように見受けられます。


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フアマーク駅を通過中のエクスプレス・ラインの列車。最高速度160 km/hで、揺れも少なく、 (客が少ないこともあって) 非常に快適な移動手段ではあるのですが、地下鉄やスカイレールへの乗り換え等も含めたトータルの移動時間を考えると、利便性ではタクシーに軍配があがりそうです。もちろん、渋滞の懸念が無いなどのメリットもありますし、結局のところは目的地と時間帯によって使い分け、というところでしょうか。


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