海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ウラジオストク市内交通・路面電車とケーブルカーとトロリーバス

[2020年1月]

ウラジオストク (Vladivostok) 市内の軌道系交通機関を乗り比べてみます。

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まずは路面電車。2000年代頃までは複数の路線がありましたが、当時の市長から市内交通をコスト面で有利なバスに置き換えていくという方針が出され、大半の路線が廃止された結果、現在は市域の端にあるわずか1路線のみが残存しています。


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そんな不遇の存在のため、残った1路線についても車両も線路もかなり年季が入っています。とはいえ、この最後の路線は今後も維持される方針になっているようです。在籍車両には現在5形式あり、写真の車両は最古参のKTM-5型。旧ソ連時代の1969年から1992年にかけて世界最多の約15,000両が生産された旧ソ連の代表的な形式です。


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運賃は一乗車20ルーブル (約36円) 均一。


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北の終点、ミンヌイ・ゴロドク電停 (Minnyi Gorodok) に到着。これといって何もないところです。路面電車の沿線には特にめぼしい場所はなく、観光目的で利用することはあまりなさそうです。


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終点の電停では線路がループ状になっており、片運転台の車両はここを通って方向転換し、反対側へ折り返します。


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電停の周辺は特に何もないので、車両の方向転換を見学した後、次の電車に乗って帰ることにします。こちらは71-608型 (またはKTM-8型とも呼ばれます) という形式で、上記のKTM-5型の後継型で、1988年から製造が開始されました。


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乗り心地は推して知るべしという感じ。


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路面電車の各車両は、特に統一された塗色があるわけではなく、そのあたりは少々アバウトな感じです。写真の車両は、サンクトペテルブルクで製造されたLM-93形車両。形式名の93は製造開始年を表しています。それまで旧レニングラード市電向けの車両製造を一手に担っていた工場が、ソ連崩壊後の需要減に見舞われ、他都市向け需要に活路を見出す目的で開発された形式です。その努力もあまり奏功しなかったのか、残念ながら製造元の工場は2013年に倒産してしまいました。


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ところ変わって、こちらはケーブルカー (フニクリョール Funikuler)。鷲の巣展望台へのアクセスとしても知られた路線ですが、観光専門という訳でもなく、市民の日常の足としても利用されています。麓側のニージュニャヤ駅 (Nizhnyaya「下の駅」の意味) は、バスが通る通りから一本奥まった道路に面しており、最寄りのバス停から少々歩く必要があります。


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立派に見える駅舎は実は無人で、運賃は車掌に直接支払います。


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頂上側のヴェルフニャヤ駅 (Verkhnyaya「上の駅」の意味) へは2分ほどで到着。そこから展望台までは歩いてすぐです。


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展望台からは停泊中のロシア太平洋艦隊の軍艦もよく見えます。太平洋艦隊司令部は軍艦が停泊する埠頭のすぐ近くにあります。


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半島の向こう側には、結氷したアムール湾も見通せます。


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最後はトロリーバス。路面電車と同じく2000年以降に路線が大幅に縮小され、現在残っているのは市域の北にあるフトラヤ・レーチカ駅 (Vtoraya Rechka) を起点とする2系統のみです。


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現在使用されているのは2形式。2007年以降に製造された新形式「アヴァンガールト」も含まれています。


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路面電車と同じく、トロリーバスの路線沿線にもこれといって訪問したくなるような場所は特にありません。11系統の終点まで乗り通してみましたが、少々うら寂しく何もないところです。バスはループ状の道路を通って引き返して行きます。


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