海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ウラジオストク・エレクトリーチカとシベリア鉄道体験乗車

[2020年1月]

ロシア極東の港湾都市、ウラジオストク (Vladivostok)。ロシアの電子ビザ制度が始まり、以前より気軽に訪問ができるようになりました。このウラジオストクで近郊電車「エレクトリーチカ」とシベリア鉄道の長距離列車に短区間だけ乗車し、ロシア鉄道の雰囲気を少しだけ味わってみることにします。

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ウラジオストク駅。言わずと知れたシベリア鉄道の終着駅です。1894年に竣工したという由緒ある駅舎で、起伏に富んだウラジオストクに地形に合わせ、崖に面して建てられています。駅舎の主要部分はホーム上にあり、駅前広場に面する入口とは駅舎の3階で繋がっています。1階にあるプラットホームへは入口から2階分降りることになります。


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駅舎内へは入口で荷物検査を受けてから入ります。切符の確認などは行われないので、冷やかし目的での入場もできます。待合室の奥に階下へ繋がる二つの階段があり、向かって左側が長距離列車の切符売り場とプラットホームへの入口、右側が近距離列車の切符売り場にそれぞれ繋がっています。


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1階の長距離列車の切符売り場。ここでは近距離列車の切符は購入できません。プラットホームへの入口もこの階にありますが、ホーム入場には再度荷物検査を受ける必要があります。


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こちらは2階の近距離列車の切符売り場。


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自動券売機もあります。英語にも対応しており、窓口で言葉が通じない係員と身振り手振りで遣り取りするより気軽に切符の購入ができます。空港行き列車「アエロエクスプレス」の切符も購入可能です。


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アエロエクスプレス用には、隣に真新しい専用駅舎が用意されています。入口で荷物検査を受けたり、プラットホームへは2階分降りるという点はメインの駅舎と同じです。2階には大衆食堂 (スタローバヤ) もあります。


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メインの駅舎とアエロエクスプレス専用駅舎との間に、ホームに掛かる跨線橋があります。この跨線橋は自由通路となっており、駅を跨いで行き来する一般の歩行者が多数行き交っています。ホームへ繋がる階段は降車客専用で、普段は鍵がかかっているため跨線橋からホームへ自由に立ち入ることはできません (後述のエレクトリーチカ専用の第4ホームを除く)。


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跨線橋の先には駅に隣接するフェリーターミナルがあり、そこから停泊中のロシア太平洋艦隊の軍艦を眺めることができます。手前からソヴレメンヌイ級駆逐艦「ブイストルイ」、ウダロイ級駆逐艦 (艦名未確認)、艦隊旗艦のスラヴァ級巡洋艦「ヴァリャーク」、マルシャル・ネジェーリン級ミサイル追跡艦「マルシャル・クルイロフ」等々…。旧ソ連時代はこの街が外国人の立ち入りが制限された「閉鎖都市」だったことを思うと、こんな写真を自由に撮れること自体に隔世の感があります。


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駅の観察もそこそこに、エレクトリーチカに乗ってみることにします。エレクトリーチカは基本的に一番端の第4ホームから発着しますが、このホームだけは駅舎と繋がっておらず、跨線橋から勝手に入って勝手に乗ってください、という構造です。このホームを発着する列車は駅舎内の掲示板にも発着番線の案内が出てきません。


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エレクトリーチカの時刻表。1時間に1本程度とあまり本数は多くありません。赤字で記載されているのはアエロエクスプレスで、途中駅までの区間利用も可能なため、エレクトリーチカの補完的な役割を担っています。ただし、運賃は少しだけ高めの設定です。また、アエロエクスプレスが発着するのは前述の専用駅舎につながる専用ホームからとなっています。


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ナージェジンスカヤ (Nadezhdinskaya) 行きの列車に乗車します。車両はロシアの標準型交流電車ER9形の一種、ER9MK形です。旧ソ連時代の1980年頃にラトビアのリガで製造され、その後ロシアのクラスノヤルスク工場でリニューアル工事を受けています (形式名末尾の「K」はリニューアル施工車両を表しています)。ウラジオストクで活躍する車両の中では古参に当たります。


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車内には木製のボックスシートが並びます。電動車には写真のように車内に機器室が設けられています。


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ウラジオストク駅を発車した列車は、アムール湾に面した海岸沿いを一路北へ走ります。この時期、海は全面的に結氷します。


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この辺りでは穴釣りが人気で、ところどころで釣り人を見かけます。訪問した1月はまだ氷が薄い時期で、氷の厚さが増す2月頃にならないと上を歩くのは危険とも言われているようですが、皆さん結構お構いなしで、中には車ごと氷上に乗り入れている人もいます。氷が割れて車が水没なんてニュースも時々出ているようですが。


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ウラジオストクから凡そ50分で、ナホトカ (Nakhodka) 行きの支線が分岐するウゴリナヤ (Ugolnaya) に到着。ここで列車を降ります。


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ウゴリナヤ駅の駅舎。ウラジオストク駅と同様、線路を見下ろす崖の上に駅舎の出口があります。ホームを隔てた反対側にも古い駅舎がありますが、そちらはもう使われていないようです。


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眼下に線路と、その向こうに結氷した海が見えます。


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帰路はシベリア鉄道の長距離列車に乗車してみます。わずか一駅、所要時間はエレクトリーチカと大差ありませんが、運賃は何倍も高くなります。


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三等車のプラッツカルトに乗車。末端区間のため空席も目立ちます。どことなく空気が澱んだ雰囲気があります。なおロシアの長距離列車の切符をネットで購入した場合、需要に応じた変動運賃が適用されるため、空席状況によっては二等車 (クペ) より三等車 (プラッツカルト) の方が高くなることもあります。


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ウゴリナヤからは40分ほどで終点のウラジオストクに到着。本当に味見程度で旅は終了です。これで一応「シベリア鉄道に乗った」ということになる…のでしょうかね。


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終着駅らしく大勢の乗客が下車。降車客は開放された跨線橋への出口から外へ出ます。


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有名なシベリア鉄道のキロポスト。「9288」というのはモスクワからの距離を表しています。


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ホーム上には蒸気機関車も展示されています。


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