南京 ~ 上海 : 高速列車CR400BF「復興号」
[2019年9月]
北京と上海を結ぶ高速鉄道「京滬高速鉄路」に乗って、南京から上海へ向かいます。乗車するのは、2017年に登場したばかりの最新形式CR400BF。「復興号」という愛称が付けられています。一世代前にあたるCRHシリーズ「和諧号」は日本や欧州各社の技術を導入して開発されましたが、結果として規格がバラバラになってしまい運用面での弊害が目立つようになってきたため、規格統一により課題解決を図ったのがCRシリーズ「復興号」です。
旅の出発は南京南駅。「京滬高速鉄路」の開通と同時に2011年に開業したターミナル駅で、3階に出発ホール、2階にプラットホーム、1階に到着ホールがあります。
乗車するのは上海虹橋行きのG11列車。列車別改札が行われており、電光表示板には待機中を示す「候車」の文字が表示されています。この電光表示板、表記は中国語のみで、日本人には内容がほぼ理解できますが、外国人には判読困難で親切さに欠けます。
各プラットホームごとに改札口も分かれています。「正在検票」と表示されると改札が始まります。鉄道の改札口というより飛行機の搭乗口に近い方式です。
発車時刻が近づき、改札を通ってホームに入ります。
ホームにはCR400BFが並びます。旧・中国北車系の長春軌道客車および唐山軌道客車により開発・製造された形式で、技術的にはドイツのICE3→CRH3C→CRH380B/Cの流れを汲んでいます。CR400BFと同時期に登場したもう一つの高速型「復興号」CR400AFは、旧・中国南車系の青島四方機車車輛により開発され、日本のE2系→CRH2→CRH380といった系譜を辿っています。
もう少しホームの端から写真を撮ろうとしたところ、この「旅客止歩」と書かれた棒状のセンサーに引っ掛かり、「入っちゃダメよ」といったようなことを中国語で警告されてしまいます。頭上には監視カメラまであり、長居は無用なようなので、おとなしく退散します。
乗車するG11列車が入線。CR400BF型の中でも最も新しい、17両編成のCR400BF-Bです。
車体には「復興号」の文字と、CRのロゴが入ります。
列車は南京南駅を出発。時刻はすでに午後6時半になろうとしており、残念ながら車窓はあまり楽しめそうにありません。
一等車の乗客には、客室乗務員からお菓子と飲み物のサービスがあります。手を付ける人はあまり多くないようで、開封せずに置きっぱなしにされているのが目立ちます。私も中国に来て以来連日過食気味で、お茶だけもらうことにします。蜂蜜入りのお茶というのも日本人には珍しいですが、結構悪くありません。
車内の電光表示器はICE3と同様のタイプで、この車両の出自の雰囲気が少しだけ残っています。CR400BFは設計最高速度は400 km/hで、実際の営業最高速度は350 km/h。鉄輪式の鉄道としては世界最速です。ただし日没後で外も真っ暗なため、残念ながらあまりスピード感を楽しむことはできません。また昼間の列車で再チャレンジしたいところ。
南京南~上海虹橋間はノンストップで、約1時間で到着。世界最速列車の旅は若干あっさりした感じで終了です。