海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ワルシャワ ~ カトヴィツェ : 特急列車「エクスプレス・インターシティ」

[2016年5月]

ポーランドの首都ワルシャワから特急列車「エクスプレス・インターシティ (EIC)」に乗って、ポーランド南部の都市カトヴィツェ (Katowice) へ向かいます。

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市街地の外れにあるワルシャワ東駅 (ヴァルシャヴァ・フスホドニャ Warszawa Wschodnia)。市の中心部にあるワルシャワ中央駅 (ヴァルシャヴァ・ツェントラルナ Warszawa Centralna) が手狭なため、長距離列車はこの駅を折り返し拠点としています。中央駅を挟んで東駅の反対側にあるワルシャワ西駅 (ヴァルシャヴァ・ザホドニャ Warszawa Zachodnia) も、同様に長距離列車の折り返し拠点となっています。


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駅周辺には何もないワルシャワ東駅。駅舎は近代的で比較的大規模ですが、利用客はまばらで閑散としています。


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プラットホームに上がると、電車特急「エクスプレス・インターシティ・プレミアム (EIP)」が停車中。ポーランド国鉄 (PKP) の長距離列車部門「PKPインターシティ」の看板列車で、アルストムの「ペンドリーノ」シリーズの最新型ETR 610をベースに製造されました。「ペンドリーノ」は車体傾斜機能 (振り子機能) が特徴ですが、ポーランド版では車体傾斜機能は省略されています。


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今回乗車するEIC 110列車「コメニウス (Comenius) 号」。ワルシャワからチェコのオストラヴァ (Ostrava) までを結ぶ国際列車です。EICとはポーランド国内のみで使用される列車種別で、チェコ国内に入ると国際特急列車「ユーロシティ (EC)」に変わります。牽引機はポーランドのパファヴァグ (Pafawag) 製EP09型電気機関車。最高速度は160 km/hです。


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走行区間の大半はポーランド国内ですが、客車はすべてチェコ鉄道 (ČD) の車両。「コメニウス」という列車名もチェコ出身の学者の名に由来しており、列車の運行もチェコ鉄道主体であることが伺えます。列車は一等車1両と二等車3両の4両編成です。


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列車番号は「EIC 110」のはずですが、「EIC 14008」という別の番号も付いています。PKPインターシティの公式サイトや、購入した切符の券面にも「EIC 110」と書かれている一方で、ホーム上の案内では「EIC 14008」との表示。乗車時に「本当にこの列車で良いの?」と迷ってしまいます。


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開放式座席の二等車に乗車。ポーランドの優等列車は座席指定が必須で、PKPインターシティの公式サイトからも予約できます。ポーランド発の国際列車で国境を超える場合、一部列車を除き公式サイトではシステムが未対応のため購入できませんが、今回のような「国際列車の国内区間のみ利用」は予約が可能です。また逆に「他国からポーランドへ入国」という場合も、乗車国の予約システムを使えば予約ができます。


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ワルシャワ東駅を出発した列車は、ほどなく地下駅のワルシャワ中央駅に到着。ここから多くの乗客が乗り込みます。乗車率は50%くらいです。


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この列車には二等のコンパートメント車も連結されています。車内を回る係員は車内販売ではなく、料金に含まれている飲み物のサービス係。ミネラルウォーターかホットコーヒーが選べます。


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二等コンパートメントの室内。片側3列の座席です。空席が目立ち、開放式座席に比べるとあまり人気がないようです。


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一等車は2+1の3列の開放式座席。見たところ乗客は1名のみで閑古鳥。


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ワルシャワ西駅を過ぎると、列車は次のザヴィエルチェ (Zawiercie) まで約2時間ノンストップ。夕暮れのポーランドの大地を駆け抜けていきます。


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ザヴィエルチェまでの区間は、中央幹線 (ツェントラルナ・マギストララ・コレヨヴァ Centralna Magistrala Kolejowa, CMK) と呼ばれる高速線を通っていきます。1977年に供用開始された「ヨーロッパ最初の高速線」とも呼ばれる路線です。路線の設計最高速度は250 km/hですが、信号システムが未対応のため実際の営業速度は160 km/h (ペンドリーノのみ200 km/h) に制限されています。


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列車は最高速度の160 km/hで疾走中。揺れも騒音も少なく、極めて快適な乗り心地です。「チェコ鉄道の車両が他国で使われている」という状況のためか、せっかくの車内モニターは「チェスケー・ドラーヒ (České dráhy、チェコ鉄道)」のロゴを表示したままで全く使われていません。Wi-Fiも搭載されているものの、Wi-Fiの電波が出ているだけでネット接続されておらず、こちらも休業状態です。


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列車は高速を保ったまま快走。時々民家が見えますが、沿線には大きな街はありません。


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ワルシャワを発って約2時間、中央幹線の出口にあるザヴィエルチェに到着。この駅から「在来線区間」に入り、10-20分おきにこまめに途中駅に停車するようになります。


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目的地のカトヴィツェには、ザビエルチェから30分ほどで到着。


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列車は10分ほど停車した後、引き続き終点のオストラヴァを目指します。チェコとの国境まではまだ1時間少々の距離がありますが、国境からオストラヴァまではわずか15分ほど。ほとんどポーランドの国内列車のような存在です。


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カトヴィツェは高架式の近代的な駅。完成したのは2013年と、まだごく最近のことです。


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モダンな外観の駅舎には大きなショッピングモールも併設。人口200万人を抱える上シレジア都市圏の玄関口として相応しい規模の駅です。


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