海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ビスタドーム号で行くマチュピチュへの旅

[2006年4月]

世界的に有名なインカ時代の遺跡「マチュピチュ (Machu Picchu)」へは、かつてインカ帝国の首都であったペルーの高山都市クスコ (Cuzco) から、鉄道に乗って向かいます。マチュピチュへは直通する道路が整備されていないため、観光客は必然的に列車利用となります。古代のインカ道を通って、歩いていくという手もありますが。

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早朝のクスコ・サンペドロ (San Pedro) 駅。右側の列車が今回我々が乗ることになるビスタドーム (Vistadome) 号です。


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マチュピチュ行きの列車には3つのクラスがあり、上級クラスから順に「ハイラム・ビンガム・トレイン (Hiram Bingham)」「ビスタドーム (Vistadome)」「バックパッカー (Backpacker)」と呼ばれています。この列車は、隣のホームに停車中のバックパッカー号。機関車牽引の客車列車で、車内はボックスシートが並んでいます。


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これが我々が乗るビスタドーム号。ビスタドーム号には数種類の車両が使われていますが、この車両はかつて「アウトバゴン (Autovagon)」と呼ばれたスペイン製の気動車です。この日の列車は6両編成。それぞれの車両は幌でつながれておらず、車両同士の行き来はできません。車内は進行方向に固定された2人がけのシート。帰りは後ろ向きに帰ってくるのかと思ってましたが、それについては後述。


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サンペドロ駅発車直後の車窓。貨物基地が見えます。基地内のレールは標準軌 (1435 mm) と狭軌 (914 mm) の三線軌条です。写真の貨車は標準軌側を使ってますが、我らがビスタドーム号は狭軌側を使っています。


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クスコは盆地にあり、市外に出るためには山を越える必要があります。列車はサンペドロ駅発車直後から、実に4段ものスイッチバックを繰り返して山を登っていきます。各スイッチバック地点では、車掌がわざわざ列車から降りて、手動でポイントを切り替えていきます。


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スイッチバックを過ぎた後も、列車は車輪を軋ませながら急カーブの続く山道を登っていきます。


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山を越えたところにある、最初の停車駅ポロイ (Poroy)。クスコ市の郊外にあたり、市中心部から車でアクセスすることもできます。列車ではここまで約40分かかりますが、車では20分程度で来ることができ、時間節約のためここから列車に乗り込む観光客も多いようです。鉄道好きにはスイッチバックのほうが嬉しいのは言うまでもありません。


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長い旅の道中、車内では軽食や飲み物のサービスもあります。車両間は行き来ができないので、各車両に係員が2,3人乗っています。人件費がかなりかかるのではという余計な心配もしてしまいます。


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列車は山奥でもう一回、2段のスイッチバックを通過します。


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ビスタドームには屋根の端にも窓が付いており、車窓に配慮された車両となっています。ビスタドームと言う名前もここに由来しているのでしょう。


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車窓からは時々、インカ時代の遺跡も見えます。


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クスコから2時間少々、二つ目の停車駅オリャンタイタンボ (Ollantaytambo) に到着。ウルバンバ (Urubamba) 行きの支線がこの駅から分岐しています。


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列車に群がる物売りたち。こちらが日本人だと分かると、片言の日本語までしゃべって売り込んできます。ほかの客が買った大粒のとうもろこしを少し分けてもらいましたが、見た目どおりの大味でした。


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クスコから3時間40分、列車は、終点マチュピチュ駅に到着。ここからバスに乗り換えてマチュピチュ遺跡に向かいます。


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隣のホームに停まっていた別タイプのビスタドーム号。こちらは、かつて「フェロスタル (Ferrostaal)」と呼ばれたドイツ製の気動車です。オリャンタイタンボ駅や、支線の先のウルバンバ駅との間の列車に使われています。


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マチュピチュ駅に勢ぞろいしたペルーレイルの列車たち。この駅は、急増する観光客に対応するため、最近になって本線上から分岐した地点に移設されたもののようです。


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マチュピチュ駅の下を走る本線。移設前の旧駅 (アグアス・カリエンテス Aguas Calientes 駅) はこの先あたりにありました。昔はもっと先まで列車が走っていたようですが、線路が自然災害で不通になった後、復旧されずにそのまま廃止されてしまったとのこと。現在も引込み線として使われています。


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線路は生活道路としても使われています。我々も線路脇を歩いて移動。


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店の軒先を列車が通過。通過しているのは最上級クラスの「ハイラム・ビンガム・トレイン」の回送列車。機関車の付け替えをして、マチュピチュ駅に戻っていくところのようです。ちなみに、「ハイラム・ビンガム」とはマチュピチュ遺跡を最初に発見した学者の名前です。


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マチュピチュ遺跡から眼下の線路を見たところ。旧アグアス・カリエンテス駅から先へ伸びる旧本線です。聞くところによれば、この先に転車台があって、ビスタドーム号は全てそこで方向転換を行っているとのこと。そのため、行きも帰りもシートは進行方向を向くようになっています。


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帰りの車内では、係員がモデルに扮したファッションショーを開催。単なるアトラクションではなく、アルパカの毛を使ったニット製品の即売会となっています。もの自体は品質は良いですが、値段のほうもかなりお高くなっています。


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