クアラルンプール駅と近郊電車「KTMコミューター」
[2012年8月]
セントラル・クアラルンプール (Sentral Kuala Lumpur) 駅 (通称、KLセントラル) の開業により、中央駅としての地位を失ってしまったクアラルンプール駅。現在も駅としての機能は残されていますが、一部を除いて長距離列車の発着は無く、かつてほどの華やかさはありません。今はマレーシア国鉄運営の近郊電車「KTMコミューター」の一停車駅としての存在です。
クアラルンプール駅は、イギリス統治時代の1910年の開業。駅舎のデザインにはイスラム様式も取り入れられています。建物が巨大なため、道路の反対側からでも全体を一枚の写真に収めることができません。この駅舎には「ヘリテージ・ステーション・ホテル」が入居しており、現在も営業を続けています。
クアラルンプール駅舎の向かい側にある、マレーシア国鉄 (KTM) の本社ビル。クアラルンプール駅の駅舎に勝るとも劣らない印象的な建築ですが、駅舎と同じデザイナーにより設計されたとのこと。
かつては長距離列車が発着していた長大なプラットホーム。利用客はそこそこにいるようですが、構内が広すぎるため、どうも閑散とした雰囲気に思えてしまいます。なお、中央の島式ホーム1面が近郊電車「KTMコミューター」の発着用で改札内、両脇の単式ホーム2面が中距離列車「エレクトリック・トレイン・サービス (ETS)」や一部長距離列車の発着用で改札外と、各ホームの用途は明確に分けられています。かつては低床式ホームでしたが、現在は全て高床化されています。
アラルンプール駅に停車する、近郊電車「KTMコミューター」の車両。KTMコミューターには数種類の電車が使用されていますが、その製造国は見事にバラバラです。こちらの車両は、南アフリカ・UCW社製の82系電車。1996年製。3両固定編成です。
こちらも同じく3両固定編成の、韓国・現代精工 (現・現代ロテム) 製の83系電車。上の82系と同時期に導入されました。
最新鋭の車両は中国南車 (CSR) 系列の株洲電力機車により製造された92系電車。編成が6両固定となり輸送力の増強が図られています。すでにかなりの両数が導入されており、結構な高頻度で出会います。マレーシアの鉄道は、長距離列車「KTMインターシティ」を除いて、全体的に急速な近代化が進んでいるような印象です。