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シンガポール ~ クアラルンプール : 急行列車「エクスプレス・ラキャ」
[2012年8月]
シンガポールからラオスまで、東南アジア4か国を鉄道で縦断する旅。乗車第一弾は、シンガポールからマレーシアへ向かう昼行の客車急行「エクスプレス・ラキャ (Ekspres Rakyat)」です。マレーシア北部のバターワース (Butterworth) まで行く列車ですが、今回は途中のクアラルンプールまで乗車します。
2011年からシンガポールの新ターミナルとなったウッドランズ駅 (Woodlands CIQ)。シンガポールの北の端にあり、場所的にはかなり不便です。MRTの最寄駅はマーシリン (Marsiling) 駅ですが、徒歩で15分くらいの距離があり、素直にタクシーを利用する方が得策です。駅内でシンガポール出国とマレーシア入国の手続きが行なわれますが、手続き開始は発車30分前から。「国境を越えるぞ」と意気込んで早めに行っても、時間を持て余してしまいます。
国境検問所らしく、ウッドランズ駅の構内は一切の写真撮影が禁止されているので、そそくさと手続きを済ませて車内に入ります。乗車するのは、横3列シートが並ぶ一等座席車「プレミア・クラス」。少々古ぼけてはいるものの、まずまず快適そうな車内です。このシートに座って、クアラルンプールまでの約6時間を過ごします。
ウッドランズを発車した列車は、「コーズウェイ (Causeway)」を渡ってジョホール水道を越え、早速マレーシア領内に入ります。この路線とは別に、海峡を渡る新しい鉄道「RTS (Rapid Transit System)」を建設する計画があり、RTS開業と引き換えに、このマレーシア国鉄の国境越え区間は廃止される予定とのこと。この車窓が見られるのもあと長くはないようです。
マレーシア最初の駅は、近代的な設備に生まれ変わったジョホールバル・セントラル (Johor Bahru Sentral) 駅、通称「JBセントラル (JB Sentral)」。ジョホールバルでは出入国管理は行われていませんが、列車はしばらく停車します。
鉄道の沿線には人家もほとんど見当たらず、景色は至って単調。たまに駅に停車しますが、いくつかの主要駅を除けば、どこもひっそりとした雰囲気です。線路の状態がそれほど良くないようで、列車はよく揺れます。
列車は、東行きの路線 (イースト・コースト線) が分岐する駅、グマス (Gemas) に到着。車掌が車外で立ち話をしており、しばらく停車しそうな雰囲気なので、私もホームに出て写真を撮ってみます。
遠方に見えるのは、現在は使われていないグマス駅の古い低床式プラットホーム。グマス駅も現在は近代化され、プラットホームも高床化されています。
ウッドランズ駅ではゆっくり見ることのできなかった列車の編成を、前から順に見ていきます。牽引機は、GE製の25形ディーゼル機関車。1990年製です。
次位はボロボロの電源車。接客用の車両ではないため、更新が後回しにされているのかもしれません。
今回乗車しているステンレス製の一等座席車「プレミア・クラス」。韓国・現代精工 (現・現代ロテム) 製で、1990年代の製造です。
ビュッフェ車も連結されています。時間帯が悪いせいもあるのでしょうが、利用客は少なめです。
二等座席車「スーペリア・クラス」は4両の連結。車内は日本の特急電車にも似た4列席で、「スーペリア」という名前は仰々しすぎです。客車自体は、外観が似ていることからもわかるとおり、「プレミア・クラス」と同じ韓国・現代精工製。
グマスを出ると、路線が電化・複線化の工事の真っ最中であることが分ります。国土を南北に貫く「ウエスト・コースト線」は高規格化が進められており、現在はグマスまでの工事が進捗中。列車の乗り心地も、グマス以南と比較して格段に良好になります。
シンガポールを出発して約6時間、列車はほぼ定刻に、セントラル・クアラルンプール駅の地下ホームに到着。列車はこの先、バターワースまで更に6時間半ほど走りますが、今回はここで下車します。
セントラル・クアラルンプール (Sentral Kuala Lumpur) 駅、通称「KLセントラル (KL Sentral)」は、従来のクアラルンプール駅に代わる新ターミナルとして、2001年に開業しました。
まるで空港のターミナルビルのようなKLセントラルの駅舎。この駅がつくられた最大の目的は、それまでバラバラに存在していた各種鉄軌道系交通機関の結節点をつくることで、マレーシア国鉄の近郊電車「KTMコミューター」のほか、市内鉄道 (LRT)、モノレール、空港連絡鉄道「KLIAエクスプレス」「KLIAトランジット」に、この駅で相互に乗換えができるようになっています。