海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ヤンゴン環状線・日本製中古気動車とローカル客車列車

[2015年8月]

ミャンマーの最大都市、ヤンゴンには環状の鉄道路線があります。全線複線非電化、延長は45.9 kmで、駅数は39。規模としては山手線の1.3倍程度です。近年は運行本数も増え、市民の重要な足となっているほか、気軽に市民生活の雰囲気を味わえるとして、外国人観光客にも人気とのこと。日本製の中古車両が数多く導入されており、それを目当てに日本人の鉄道ファンも数多く訪れています。

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ダウンタウン地区の北の縁にあるヤンゴン中央駅。駅舎は英国統治時代に建てられたもので、ミャンマーの伝統様式の雰囲気を持たせたデザインです。


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駅舎内の切符売り場は長距離列車専用のもので、環状線の切符はホーム上の別の窓口で購入します。構内への入り口には係員が立っていますが、切符を持っていなくとも入場可能です。また従来、ミャンマーでの鉄道写真撮影は「撮影許可証」が必要とされていましたが、現地の方曰く「最近は無しでも大丈夫」とのことで、駅でカメラを構えても咎められることはまずありません。


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6番・7番のりばのホームにある、環状線用の切符売り場。窓口の係員は観光客慣れしており、説明せずとも「ああ、一周ね。」という感じで切符を出してくれます。ドル払いの外国人料金は廃止されたので、支払いは現地通貨チャットで。環状線には途中駅止まりの区間列車も多いですが、一周するのはどの列車かも係員が教えてくれます。なお、環状線の列車は必ずしもこのホームから発着するわけではないので、乗り場も聞いておいたほうが良いでしょう。


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環状線で使用されている車両は、日本製中古車 (多くは冷房車) と、客車列車 (全車非冷房) が約半々。切符を買う際に、冷房車か非冷房車かを選択します。写真の車両は、見ただけで出所が明らかな元JR東海キハ40系。行先表示に日本語が入っているのも、日本製中古車のお約束。


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こちらも一目瞭然の、元JR北海道キハ40系。日本製中古車の列車は、どれも5両編成が基本のようです。環状線の列車は数十分に一本程度の間隔でやってきますが、間隔が一定ではなく、片方向のみの列車が次々にやってくる場合もあります。


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一方、こちらは車庫で休車扱いになっていると思しき、元のと鉄道の車両。日本製中古車のミャンマーへの譲渡は続々と進んでいますが、すべての車両が順調に活躍を続けているわけでもないようです。一部には、エンジンを取り外されて「客車」として使用されている車両もあります。


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環状線のエース級 (?) として活躍している、元JR西日本の特急車キハ181系。こちらの車両に乗ってみることにします。


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車内はほぼ日本時代のままで、異国の地にいることを忘れてしまいそうな雰囲気。環状線の列車は時間帯によってはかなり混みますが、幸いこの列車は空席が多く、快適な列車旅を楽しめます。


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日本語の各種表記や広告が残っているのも、やはりお約束です。


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キハ181系には、元グリーン車のキロ180も連結。


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車内に掲示されている路線図。環状線以外にも、一部の支線でも近郊列車が運行されています。環状線一周の所要時間は約3時間ほどです。


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線路の状態があまりよくないこともあり、列車はかなりゆっくりとしたスピードで走ります。扉は走行中も常時開け放しです。車両によっては、かなり強烈に冷房が効いている場合もあるので、デッキに避難して外気に触れるのも良いかもしれません。


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途中駅はこんな雰囲気。比較的どこの駅でも待ち客がおり、地元民に良く利用されていることが伺えます。駅によっては物売りの姿も見かけます。


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一方、こちらは客車列車。仏アルストム製機関車に牽かれた客車5両の編成です。客車の両数は5ないしは6両というのが多いですが、支線行きの列車ではより短い場合もあります。


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こちらの列車もアルストム製の機関車。ミャンマー鉄道の機関車としては他に、日本製、中国製、ドイツ製なども使用されていますが、近郊列車の牽引機としては、アルストム製が多いように見受けられます。


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客車列車のほうにも乗車してみます。客車の多くはロングシートで出入り口は片側2箇所というスタイル。扉が最初から付いていないので、出入り口は常時開け放しです。車内には時折、物売りなどもやってきて、いかにも地元のローカルの列車という雰囲気です。


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カーブを曲がる列車。都市近郊列車というよりも長距離鈍行といった方が似合いそうな雰囲気です。


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ミャンマーの鉄道は軌道状態が悪いとよく言われますが、実際に列車はよく揺れます。軌道にはPC枕木にパンドロール型締結装置なども使われ、設備的には近代化されているように見えますが、メンテナンスが追いついていないようで、直線区間で目を凝らしてみると、やはりレールは結構歪んでいます。


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ヤンゴン中央駅から右回りで約1時間、途中のインセイン (Insein) 駅で下車してみます。近くには車両基地があり、車両の改造なども行われているようですが、さすがに中を見るのは難しそうです。環状線の中でも比較的大きな駅で、この駅止まりの列車も設定されているものの、駅前には何もありません。


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駅周辺の散策もそこそこに、折り返してヤンゴン中央駅に戻ることにします。しかし逆方向の列車ばかりやってきて、なかなか帰ることができません。


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インセイン駅で下車して約50分後、ようやく帰りの列車が到着。列車間隔が開いていたためか、それとも時間帯が悪かったのか、列車は超満員です。「また日本人がカメラ構えてるよ」とばかりに運転手に笑われながら一枚だけ写真を撮った後、列車に乗り込んでヤンゴンへの帰途に就きます。


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