海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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キシナウ ~ ヤシ : 国際夜行列車と国境での台車交換

[2019年5月]

モルドバのキシナウからルーマニアのブカレストまでを結ぶ夜行列車に乗車します。モルドバは1520 mmの広軌、ルーマニアは1435 mmの標準軌を採用しているため、国境のウンゲニ (Ungheni) 駅で台車交換が行われます。今回はこの列車でルーマニアのヤシ (Iași) まで乗車します。

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キシナウ発ブカレスト行きの401列車。旧チェコスロバキア・ČKD製のChME3型機関車が牽引します。キシナウ駅にも出入国審査の施設がありますが、この列車での出国審査は国境のウンゲニ駅に着いてから行われます。


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編成を見ていきます。1両目は一等車 (リュクス)。1両のみ連結されています。


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2両目は半室カフェと二等 (クペー) との合造車。


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3両目以降はすべて二等車で、4両連結。総勢6両の編成です。


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今回は一等車に乗車します。


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一等車の車内。一段式のベッドが向かい合わせに並ぶ2人用個室で、車掌からシーツを貰って各自でメイキングします。同室となったのは、ブカレスト在住というモルドバ人ビジネスマンの男性。小難しい話が好きな方で、日本の医療保険制度から北方領土に至るまで、様々な話題で盛り上がります。日本と欧米では数の桁数の区切り方が異なる (日本は万、億、兆と4桁ずつ、欧米は千、百万、十億と3桁ずつ) という話には大変興味を示してました。


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列車はキシナウ駅を定刻に発車します。国境のウンゲニまでノンストップです。


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隣の二等車も覗いてみます。二段式寝台の4人用個室です。空室もあり、それほど混雑してないという印象です。


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半室のカフェ車。利用は低調のようです。


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ブカレスト着が早朝となるキシナウ発列車は夜のみの営業、対する逆方向のブカレスト発列車では夜と朝の両方で営業しています。


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アルコール類のメニューはやたらと充実しています。食べ物のメニューはありませんが、その日にあるものだけ作って出してくれる、という感じなのかもしれません。


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キシナウを発ってからウンゲニまでノンストップなので、列車がどの辺りを走っているのかよく分かりません。ウンゲニ到着予定時刻になっても着く気配がなく、列車はまあまあ遅れているようです。列車がウンゲニについた後しばらくはトイレが閉鎖されて使えなくなってしまうため、時間を見計らって用を済ませておくことにします。


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国境の駅、ウンゲニには50分程遅れて到着。ウンゲニ駅は島式ホームで片側が広軌、反対側が標準軌のホームになっています。列車はまず広軌側のホームに入線して客扱いを行います。


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台車交換設備は標準軌ホームの更に向こう側にあります。列車は入れ換え作業を行って台車交換設備のところまで移動します。


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いよいよ台車交換です。列車は二つに分割され、車体昇降装置が並んだ二本の専用線に分けて入れられます。更に各車両は少しずつ間をあけて一両ずつに切り離され、それぞれ個別の昇降装置によって持ち上げられます。車両の持ち上げは極めてスムーズで騒音もほとんどなく、外を見ていないと持ち上がったことに気付かないくらいです。


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同室のモルドバ人男性が親切にもデッキに立っていた係官に話をしてくれ、貫通扉を開けて外の作業を見せてもらうことができました。持ち上げられた車体の下から、広軌台車が手作業で運び出されてきます。時々台車同士がぶつかって「ガツン」と大きな音を立てますが、誰も気にする様子はありません。この後反対方向から標準軌台車が車体下に運ばれてきます。


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隣の専用線の車両は一足早めに台車交換を終え、車体が降ろされています。写真からは伝わりにくいですが、隣と比べると結構な高さまで車両が持ち上がっているのが分かります。


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台車交換が終わると各車両は再び連結しなおされ、今度はウンゲニ駅の標準軌ホームに入線、車内でモルドバ側の出国審査が行われます。パスポートチェックは車内で可搬式のスキャナを用いて行われ、その場で押印されます。係官からは型通りの質問を受ける程度ですが、ここでもモルドバ人男性が係官との通訳をしてくれます。


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ルーマニア側に入って入国審査が終わり、2時間以上続いたトイレ閉鎖もようやく解除、トイレの前には少々列ができています。私も順番待ちをしたりしているうち、ほどなく列車は目的地のヤシに到着。お世話になったモルドバ人男性とお互いの旅の安全を祈りつつ、列車を後にします。


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