海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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釜山 ~ 慶州 : 特急列車「セマウル号」で古都を訪ねる

[2008年12月]

KTXの開業に合わせて大幅削減された、かつての主力特急「セマウル号」。現在は支線級の路線を中心に活躍しています。今回は、釜山から海沿いの区間を走る「東海南部 (トンヘナムブ) 線」のセマウル号に乗って、世界遺産登録された古都、慶州を訪ねます。所要時間は1時間40分程ですが、列車本数が少ないため、計画は綿密に立てていく必要があります。

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東海南部線のほとんどの列車は、ここ釜田 (プジョン) 駅が起終点。釜山市の中心部に近い場所ですが、KTXの発着駅となる釜山駅からは離れており、乗換には地下鉄で移動する必要があります。駅前には市場が広がり、散歩がてらに見学するだけでもなかなか楽しいところです。


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釜田駅は橋上駅舎。ホームに列車が停まっているのが見えます。ホームは3面6線。


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駅舎の内部。釜山駅と比べれば、利用客も少なくひっそりとした印象で、駅舎内の設備も売店が一軒ある程度。韓国のほとんどの駅と同様、この駅でも「列車別改札」が行われているため、乗る列車の発車15分ほど前までは、ホームに立ち入ることができません。駅舎内でしばし待機。


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発車時刻が近づき、いよいよホームへ。ムグンファ号用の客車が停まっています。このあたりのムグンファ号は、機関車+電源車+客車3両というのが基本のようです。


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今回乗車するセマウル号の車両。丸みを帯びた前面形状は、大宇 (テウ) 製車両の特徴です。近年では前面のカバーは常に外され、連結器がむき出しになってることが多い様です。主役の座を下ろされて、車両の扱いまでぞんざいになってしまったのでしょうか。


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丸みを帯びた車体と、長円形の客室窓はセマウル号車両の大きな特徴。他の国でも見かけない珍しい形状です。列車は、オリジナルの8両編成から、食堂車が脱車された7両編成。


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このセマウル号は、釜田発、蔚山・慶州経由、ソウル行き。KTXの開業によって、京釜線を直進する列車が減らされ、代わりにこのような東海南部線経由便が増やされたとのこと。


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セマウル号の普通車車内。「日本のグリーン車なみ」とも評される大型の快適なシートで、シートピッチは1150 mm。確かに、これに慣れた乗客には、KTXのシートに窮屈さを感じるのも当然という感じです。しかし、釜山発車時点での乗客は、列車全体でたったの数人。


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釜山を発車した列車は、単線非電化の路線をゆったりと走り、ほどなく海雲台 (ヘウンデ) に到着。古くからビーチリゾートで知られる釜山の観光地ですが、駅の規模は小さめ。列車を利用してくる人が少ない証でしょうか。


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セマウル号は引き続きのんびり走り、東海南部線で最大の都市となる蔚山 (ウルサン) に到着。乗客が多く、列車はたちまち大混雑。おそらく、ほとんどソウルへ向かう乗客でしょう。蔚山は人口100万を抱える大都市でありながら、ソウルと釜山を一直線に結ぶ「京釜回廊」から外れているため、交通面では今まで不遇の扱いを受けていましたが、将来はKTXの高速新線が慶州・蔚山経由で建設され、利便性が一気に高まります。


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しかし、東海南部線は全体的にローカル線然とした雰囲気。海が見えるのも釜山近郊のわずかな区間のみで、あとは田んぼだけの単調な景色が続きます。セマウル号も性能をもてあまし気味。


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釜山から1時間40分、目的地・慶州に到着。同区間をバスなら1時間前後で行けるそうで、本数も多く、鉄道に興味がなければバスのほうが便利という状況です。KTXの全線開業までは、鉄道の劣勢は動きそうにない、といったところでしょうか。


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セマウル号は、引き続きソウルへ向けて発車します。慶州駅のホームは2面4線。よく見ると支柱に古来風の文様が描かれていたりします。


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慶州駅には留置線も併設されていますが、ここで見つけたのは韓国ではレアな存在の寝台車。国土が狭い韓国では寝台車の需要があまりなく、せっかく製造しても活躍の場が少なく、こんなところに留置されているという次第。もっとも「寝台車の需要が少ない」という点では、日本も大して変わりはないのですが…。


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慶州駅の駅舎。古都らしい雰囲気が演出されていますが、駅舎自体は日本統治時代に建造されたものだとのことです。駅までは、観光地然とした「タクシーの勧誘」がたくさん寄ってきます。我々は駅前広場のすぐ横にあるレンタサイクル屋で自転車を借りて観光へ向かいます。


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