海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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急行「飯田線秘境駅号」で行く、お気軽秘境駅探訪ツアー

[2010年11月]

昨今の鉄道ブームの波に乗り、その注目度が高まっている「秘境駅」ですが、今年になって、その秘境駅をめぐる専用のツアーまで登場しました。その名も「『飯田線 秘境駅号』で行く 秘境6駅探訪の旅」。鉄道ファン以外の方にも非常に人気が高く、予約も思うように取れないほど好評のツアーとなっています。私も夏頃から何度か予約に挑戦し続けて、ようやく11月になって参加することができました。その模様をお伝えします。

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朝のJR豊橋駅。今回乗車するのは、ツアー向けに仕立てられた臨時列車「飯田線秘境駅号」で、373系3両編成、全席指定の急行列車です。一部の席が一般売りされているため、厳密にはツアー専用列車(団体臨時列車)ではありませんが、雰囲気は団体列車そのものです。この日は、テレビ局の同行取材も来ています。


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「飯田線秘境駅号」のヘッドマーク。幕式ではなく、上から貼りつけられています。イラストには小和田駅と国鉄色の119系電車の姿が。ツアーの案内によれば、列車名は「飯田線秘境駅号」となっていますが、マークには「魅惑の飯田線 秘境駅号」とあります。また、きっぷの券面には「飯田線急行秘境駅号」とかかれており、どれが正しい列車名なのかわかりません。


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列車は本日も満員。この日は今年のツアー催行最終日だったようですが、最後まで盛況続きだったようです。ちなみに、年明けの次回催行もすでに決まっているとのこと。それでは、秘境駅の旅にいざ出発します。


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列車はこまめに停車を繰り返しながら進んで行きますが、秘境駅を含めたいくつかの駅では、下車見学のため長めの停車時間が設定されています。最初の長時間停車駅は新城で、停車時間は18分。ここは散策というより特急退避と対向列車交換のための停車で、駅自体には特に見所があるわけではないですが、ツアーも最初のうちはみんな物珍しがって、行き違いの119系普通列車などの写真を撮ったりして楽しんでいます。


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続いては、鬼の面をかたどった駅舎で有名な東栄駅。停車時間は20分。対向の特急「伊那路2号」と行き違います。


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ツアー参加客の昼食は、「秘境駅弁当」と銘打った特製のオリジナル弁当です。


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車内では、秘境駅以外にも車窓案内の放送がかかります。「渡らずの橋」として知られる第6水窪川橋梁に差し掛かったときは、案内を聞いて乗客がにわかに運転席背後に殺到。私もその1人として写真を撮りに行きます。


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東京駅を模したとされる、赤レンガ調の駅舎が特徴の大嵐駅。停車時間は16分。だいぶ山が深くなってきました。ここから先、列車はいよいよ「秘境駅ゾーン」に突入していきます。


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最初は、秘境駅の大御所、ランキング2位の小和田駅。停車時間は20分。列車3両分の乗客が殺到し、山間のローカル駅は、秘境らしからぬラッシュアワーの様相を呈します。乗客たちは限られた停車時間の中で「何もない駅周辺」を堪能します。飯田線では、駅舎がすでに解体されてしまった駅も多いですが、ここでは古風な木造駅舎が残されており、秘境駅としての「格」を上げている感じがあります。


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続いては、小和田駅の隣、ランキング10位の中井侍駅。停車時間は10分。駅のすぐ隣に民家がありますが、そこの住人も、この「一瞬の大混雑」は見慣れた光景となってしまっているでしょう。


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沿線に街が開けてきて、「秘境」は一旦お休み。特急停車駅でもある平岡駅に停車します。ここでは、急行列車である「秘境駅号」が、後続の普通列車に道を譲ります。停車時間は少々長めの35分ですが、乗客たちは駅舎内の売店で買い物タイム。暇を持て余している様子はありません。


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秘境駅探訪の旅を再開。3つ目は、ランキング32位の為栗駅。停車時間は15分。駅近くにつり橋があり、乗客たちは少々急ぎ足で橋を往復していきます。


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続く4つ目は、飯田線では小和田駅と双璧をなす、ランキング4位の田本駅。停車時間は15分。ホームや駅周辺の狭さも随一のこの駅では、階段に大行列ができてしまいます。トンネル上の撮影ポイントでは、乗客がかわるがわる写真を撮って、順序良く駅に引き返していきます。


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5つ目はランキング13位の金野駅。停車時間はやや短めの6分。


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最後の6つ目となる秘境駅は、ランキング38位の千代駅。停車時間は5分。


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秘境駅区間も終わり、列車は終点の天竜峡に到着。豊橋から実に5時間あまりもかけてやってきましたが、それほど長時間列車に乗っていたとは思えないほど中身が詰まった行程でした。ツアー参加者は、更にここから更にマイクロバスに乗って移動し、りんご狩り体験に参加します。鉄道以外にもお楽しみ要素が盛り込まれています。夏季のツアーでは天竜峡川下りが実施されていたようで、季節によって内容を変えているようですが、冬は何が行われるのでしょうか。


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帰路では、下車見学の時間が設けられているのは、平岡と伊那小沢の2駅のみ。この時期は日も短く、残念ながら停車するころにはすでに辺りは暗くなっています。乗客たちも流石に疲れが出てきたころで、列車を降りる人もまばらです。


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最後の下車見学駅となる伊那小沢駅。停車時間6分。時刻は17:20分ころで、夏季であればまだ周辺の景色を楽しめた時間帯だったのでしょうが、今の時期ではもう真っ暗です。数人が列車の写真だけとって、車内に戻ります。


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帰りの車内では、軽食としておにぎり弁当の提供。一応「秘境弁当」というラベルが添えられています。疲れた身には、夕食としてもこのくらいの量がちょうどいいのかもしれません。食べた後は終点まで半眠りです。


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夜の7時半、列車は終点の豊橋駅に到着。長時間の乗車で、乗客はみな多少疲れた様子を見せていますが、ほとんどの人には大いに満足の行く旅だったのではないでしょうか。私個人としても、がんばって何度も予約に挑戦した価値はあったと思える、楽しいツアーとなりました。更にここから新幹線に乗って家路につかねばならず、まだまだ「列車の旅」が続きます。


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