ブダペスト市内交通
[2016年5月]
ハンガリーの首都ブダペストの鉄道を見て回ります。
ブダペストで最大のターミナル駅、ブダペスト東駅 (ブダペシュト・ケレティ・パーヤウドヴァル Budapest-Keleti pályaudvar)。「パーヤウドヴァル」とはターミナル駅を意味し、puと略されます。ブダペストを発着する多くの国際列車がこの駅を起終点としています。大きなドーム屋根を擁する巨大な駅舎は、1880年代の建築です。
ブダペストには主要なターミナル駅が3つあり、上述の東駅に加え、市街の北寄りにブダペスト西駅 (ブダペスト・ニュガティ Budapest-Nyugati pu)、ドナウ川を渡ったブダペスト西側にブダペスト南駅 (ブダペシュト・デーリ Budapest-Déli pu) が存在します。こちら写真は南駅で、ハンガリーの南西部方面に向かう国内列車の多くと、クロアチア方面などの一部の国際列車が発着しています。
ブダペストにも大規模なトラムのネットワークがあります。その総延長は160 km。主力として活躍しているのは、旧共産圏諸国でおなじみの旧チェコスロバキア・ČKDタトラ (ČKD Tatra) 製の車両。1980年前後に製造されました。
ブダペストのトラムでは、比較的市内中心部に近い区間でも専用軌道が多くみられます。また片運転台方式が主流の東ヨーロッパ諸国において、珍しく両運転台方式が採用されており、途中駅でも折り返しが可能となっています。
数はやや少なめですが、ハンガリー地場のガンツ (Ganz) 製車両も活躍しています。路線ごとに運用される車両が異なるようで、写真の路線ではガンツ車ばかりが走っています。
一部で最新式の低床車も導入されています。こちらの車両はスペインのCAF (カフ) 製の車両。
へーヴ (HÉV) と呼ばれるブダペストの近郊電車。近郊鉄道を意味する「ヘイエールデキュー・ヴァシュート (helyiérdekű vasút)」の略から来ています。ハンガリー国鉄 (MÁV) のネットワークからも独立した近郊電車専用の路線で、4路線と1本の支線があります。地下鉄とは通しで路線番号が振られています。ブダペスト市外にも路線を伸ばしていますが、ブダペスト市内共通券で乗車できるのは市内区間のみです。
車両はいずれも東ドイツ製。吊り掛けのサウンドが楽しめます。クロスシートの背もたれが低く、座ったときに若干違和感があります。
地下鉄は4路線が営業。うち1号線は、ヨーロッパ大陸で最古、世界では2番目に開業したとされる路線で、低床式の旧式車両が走っています。2号線や4号線では、写真のような新型車両 (アルストム製) が活躍しており、路線ごとに個性が豊かです。