海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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バラトンフェニヴェシュのナローゲージ鉄道

[2016年5月]

ハンガリー南西部に位置するバラトン湖畔の小さな町バラトンフェニヴェシュ (Balatonfenyves) には、ハンガリー鉄道 (MÁV-Start) が運営する軌間760 mmのナローゲージ路線があります。ハンガリーにはいくつかのナローゲージ路線がありますが、ほとんどが観光鉄道や森林鉄道で、地方交通を担う現役路線としては、この路線が唯一のものです。比較的近年までハンガリー東部のニーレジハーザ (Nyíregyháza) と南部のケチケメート (Kecskemét) にもナローゲージ路線がありましたが、残念ながらいずれも2009年12月を以って廃止されています。

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ナローゲージ路線の起点であるバラトンフェニヴェシュGV駅。ナローゲージではない「本線」のバラトンフェニヴェシュ駅からは徒歩数分ほどの距離です。「GV」とは、軽便鉄道を意味する「ガズダシャーギ・ヴァシュート (gazdasági vasút)」を表しています。終点のショモジセントパール (Somogyszentpál) までの全長約14 kmの区間を、毎日5往復の列車が運行しています。列車はディーゼル機関車+客車1両の簡素な編成です。


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木製シートが並ぶ車内。中央には薪ストーブがあります。ストーブ目当てに冬に乗りに来ても面白いかもしれません。車端部にはトイレもあります。乗客は10人ほどで、私の他は、外国から来たらしい鉄道ファンの男性2人組を除いて、あとは地元客のようです。


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バラトンフェニヴェシュを出発した列車は、しばらくはかなりの低速で走ります。


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沿線には田舎の牧歌的な風景が広がり、気持ちの良い車窓です。


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木々の中を走っていく列車。軌道状態はあまり良くなさそうで、乗り心地も推して知るべしというところ。


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ようやく少しスピードが上がったかな、というところで、最初の停車駅イムレマヨル (Imremajor) に停車。この駅には交換設備がありますが、一本の列車がピストン運行するだけの路線のため、列車の行き違いは行われていません。


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地元客は全員下車してしまい、列車に残ったのは私と鉄道ファン2人組だけ。


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列車は、軽便鉄道らしい急カーブを曲がりつつ、先へ進みます。かつて運行されていた支線がこのあたりから分岐していたはずですが、残念ながら分岐路線は見つけられず。


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周囲には一面の麦畑が広がります。


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あと2つほど駅に停まるはずでしたが、どうやら乗降客がいない駅は通過してしまうようで、気が付けば列車は終点のショモジセントパールに到着。かつて鉄道施設として使われていたと思しき建物もありますが、現在は待ち客用のベンチと屋根だけの簡素な駅です。


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ショモジセントパールでの折り返し時間は5分。列車は到着後すぐに機回し作業を始めます。


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機回しの作業中、地元客がやってきました。一日5往復ながら、一定の利用客がいるようです。


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機回し作業には車掌も参加。ポイントを手動で切り替えるのは車掌の役目です。同乗してきた鉄道ファン2人組も懸命に写真を撮っています。


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機関車と客車を連結して機回し作業完了。列車はすぐに発車します。


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往路では知らないうちに通過してしまった、途中駅のショモジセントパール・フェルシェー (Somogyszentpál felső)。「フェルシェー」は「上 (かみ)」という意味です。駅名標と時刻表しかない極めて簡素な駅で、復路も通過です。


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次のパールマヨル (Pálmajor) も往路では通過してしまった駅ですが、帰路は地元客が乗車。車掌とは顔馴染みのようです。


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車内には観光案内も掲示されています。


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場所によってはバラストが全く見当たらない線路。維持状態は必ずしも良好という訳ではなさそうですが、貴重な現役軽便鉄道としてまだまだ頑張ってもらいたいところです。


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列車は起点のバラトンフェニヴェシュGV駅に到着。最初の乗車時とは違う場所に停車したかと思えば…


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駅舎を囲むデルタ線で列車ごと方向転換。


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列車は駅舎の裏側を通り…。


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最初の停車位置に戻って方向転換を完了。上述の通り、もう一方の終点ショモジセントパールでは機回しにより方向転換を行うので、一往復するごとに車両の前後が入れ替わることになります。


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バラトンフェニヴェシュGV駅の近くには、ナローゲージ路線の車両基地があります。数両の機関車の他、開放式の客車や貨車の姿も見えます。ほとんどの車両は現役ではないのかもしれませんが、かつては今よりも多種多様な車両が運行されていたことが伺えます。


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