マドリード ~ マラガ : 高速鉄道AVEでアンダルシアへ
[2017年5月]
マドリードから、スペイン南部、アンダルシア地方のマラガ (Málaga) まで、高速鉄道AVEで移動します。
まずは近郊電車セルカニアス (Cercanías) で、AVE発着駅のプエルタ・デ・アトーチャ (Madrid-Puerta de Atocha) まで移動。AVEを含むスペインの長距離列車 (ラルガ・ディスタンシア Larga Distancia) には「コンビナード・セルカニアス (Combinado Cercanías)」という制度があり、乗車駅では発車3時間前から、下車駅では到着3時間後まで、それぞれ一乗車に限り無料で近郊電車が利用できます。eチケット控えに記載のコードを券売機に打ち込み、切符を受け取ります。
プエルタ・デ・アトーチャで発車を待つ、マラガ行きAVE 2122列車。ボンバルディアとタルゴ (Talgo) により製造された、「タルゴ350」こと102系車両 (Serie 102) です。スペイン中部、ラ・マンチャ (La Mancha) 地方の乾燥地帯を走るためか、車体が薄茶けています。この車両に限らず、同路線の車両は他もだいたい同じ感じで汚れています。
今回は特別二等車「トゥリスタ・プルス (Turista Plus)」に乗車 (マラガ到着後に撮影)。以前は一等車「プレフェレンテ (Preferente)」とされていた車両で、座席は横3列です。以前のAVEは特等「クルブ (Club)、一等「プレフェレンテ」、二等「トゥリスタ」の三等級制でしたが、2013年頃から制度が変更され、クルブがプレフェレンテに、プレフェレンテがトゥリスタ・プルスに、それぞれ格下げされています。料金が下がった代わり、それまでの食事サービスが廃止されています。
列車はマラガに向けて発車します。マラガまでの所要時間は2時間50分です。
等級変更から数年経つにも関わらず、車内にはプレフェレンテの文字が残ったままです。乗車口の表示も変更がなく、あまり積極的に修正する気がないようです。
マドリード出発からしばらく、建設中の高速新線と並走します。通り抜け不可能なプエルタ・デ・アトーチャ駅の頭端式ホームをバイパスし、新たにアトーチャ駅に地下ホームを建設、チャマルティン (Madrid-Chamartín) 駅方面まで地下トンネルで結ぶという計画が進められており、その計画に付随した新線だと思われます。この新線はバレンシア行き路線の分岐点まで続いています。
トゥリスタ・プルスはほぼ満席の盛況。公式サイトでの事前予約により安価に切符が購入できるため、上級座席もそこそこ利用率は高いようです。等級ごとに混雑具合によって最低運賃が変わるため、場合によってはトゥリスタよりトゥリスタ・プルスやプレフェレンテの方が安い場合もあります。
列車はラ・マンチャ地方の荒涼とした風景の中を走ります。時折車窓にはオリーブ畑が広がります。
南へ進むにつれ、徐々に空が晴れてきました。列車はシウダー・レアル (Ciudad Real)、プエルトリャノ (Puertollano) といった小さな街の駅に停車していきます。高速線は人口の少ない地域を通ってコルドバ (Córdoba) までをほぼ直線的に結んでいるので、途中駅自体が少なめです。
コルドバでセビリア (Sevilla) 方面の路線と別れ、列車はマラガ行きの路線へ入っていきます。
車窓から在来線を走る客車列車が見えます。スペイン版クルーズトレイン「アル・アンダルス (Al Andalus)」です。5泊6日または6泊7日をかけてアンダルシア地方を周遊し、料金は最も安いもので1人2900ユーロ (約36万円) もかかります。客車は1930年代製造の車両を1983年に改装したもの。現在のスペインでは数少ない「非タルゴ型客車」というだけでも貴重と言えます。
アンテケーラ=サンタ・アナ (Antequera-Santa Ana) 駅に停車。この駅ではアルヘシラス (Algeciras) 方面の在来線と接続しており、駅の近くに軌間変換装置があります。高速線と在来線の間を直通する軌間可変列車として、客車タイプの「アルタリア (Altaria)」がこの駅を経由してマドリード ~ アルヘシラス間で運行されています。
せっかくなので、カフェテリアにも立ち寄ります (マラガ到着後に撮影)。軽食、お菓子、飲み物が販売されており、私もハムとチーズのホットサンドイッチとコーヒーのセットを注文。利用率はそこそこ高く、絶えず客がいるという感じのため、客が少ない時間帯を見計らっての利用です。
カフェテリア車からの眺め。マラガ到着まではもうすぐです。空は晴れ渡っています。
終点のマラガ・マリア・サンブラーノ (Málaga-María Zambrano) 駅に到着。定刻より4分早着です。
プラットホームには、乗ってきた車両と同じ102系車両が並びます。
隣のホームには、中距離の高速列車「アバント (Avant)」の104系が停車中。アバントはAVEの補完列車として、一日数往復がセビリアのサンタ・フスタ (Sevilla-Santa Justa) 駅までの間で運行されています。
マリア・サンブラーノ駅は、マラガまでの高速線の開業に合わせて全面的に改修が行われています。高速線開業前は、単にマラガ駅と呼ばれていました。マリア・サンブラーノとは、マラガ出身の哲学者にちなんでいます。
マラガでも「コンビナード・セルカニアス」を使って、近郊電車で移動します。やってきたのは、マラガのコスタ・デル・ソル (Málaga-Costa del Sol) 空港。
ここから飛行機に乗って地中海を渡り、アフリカ大陸にあるスペインの飛び地、メリリャ (Melilla) を目指します。所要時間は45分。メリリャ行きはマドリードからも直行便が出ているので、マラガまでわざわざAVEに乗る必要などなかったのですが、まあそこはそれとして…。