海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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バルセロナ ~ ジローナ : 急行列車「MD」で行く並行在来線の旅

[2014年7月]

高速鉄道網の急速な発達が続いているスペインですが、在来線のサービスアップにも引き続き力が入れられており、中距離列車 (メディア・ディスタンシア Media Distancia) への新車投入なども行われています。今回は、2013年に高速線が開業したバルセロナ ~ フィゲラス (Figueres) 間で、あえて「並行在来線」の急行列車「MD」に乗って、途中駅のジローナ (Girona) を目指します。スペインでは在来線は「リネア・コンベンシオナル (Línea convencional)」と呼ばれ、日本語に訳すとそのまま「在来線」となります。

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バルセロナの中心駅、サンツ (Barcelona-Sants) 駅の地下ホームで、乗車予定の列車を待ちます。在来線用ホームには、近郊列車「ルダリアス (Rodalies)」に混じって、時々中距離急行列車も入ってきます。写真の列車はタラゴナからやってきた「レヒオナル・エクスプレス (Regional Exprés)」の448系電車。レヒオナル・エクスプレスはMDの下位にあたる列車種別で、料金も若干異なります。


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今回乗車するのは、フランス国境に近いポルボウ (Portbou) へ向かう「MD」の449系電車。「MD」とは、449系電車または599系気動車のいずれかの新型車両により運行される列車の種別で、「メディア・ディスタンシア (Media Distancia)」の頭文字から名づけられています。「メディア・ディスタンシア」という言葉自身が、MDや前述のレヒオナル・エクスプレスを含む中距離列車の総称でもあるため、少々紛らわしい命名であると言えます。


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449系は5両の固定編成。各車の中央に出入り口を持つ特徴的な構造です。車体はスペインのCAF (カフ) 製、動力機器には三菱製が使用されています。今回乗車する列車は2編成を繋いだ10両編成。紫とオレンジのラインは、中距離列車の共通塗色です。


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10両という長編成のため、どれほどの需要がある列車かと思いきや、車内はガラガラ。全車自由席なので、好きな席に座れますが、車両によっては1人も乗っていない場合も。


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地上区間に出ると、列車はところどころで高速線と並行しながら走ります。サンツ駅発車時はほとんど人気のなかった車内ですが、途中駅で乗客が少しずつ増えていきます。


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列車の最高速度は160 km/h。天井に設置されたモニターには、115 km/hを超えると速度が表示されるようになります。乗り心地は悪くありませんが、若干硬さが目立つという感じです。


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途中駅では、線路を共用する近郊列車ルダリアスの車両も見かけます。写真奥に見える高架橋は高速線のものです。


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バルセロナから地中海沿いにフランス国境へ向かうこの路線ですが、景色は比較的単調で、海も全く見えません。


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暇つぶしに車内を散策。5両編成のうち、中央の車両だけがバリアフリー対応の低床構造となっています。低床部分には身障者対応の便所とともに、スナック、飲料の自動販売機と立席用スペースも設置されており、ちょっとした気分転換ができるように配慮されています。


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バルセロナから1時間20分ほど、列車は定刻にジローナ駅の高架ホームに到着。ジローナには高速列車も発着していますが、高速線用ホームは地下にあるため、在来線からは見ることができません。高速列車を使った場合、バルセロナからの所要時間は半分以下の40分弱です。


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