高速鉄道AVE・マドリード - バルセロナ高速線の103系「ヴェラロE」
[2012年3月]
スペインの高速列車乗り比べの旅、最後は、スペインの二大都市を結ぶ主要幹線「マドリード - バルセロナ高速線」を走る高速鉄道AVE (アベ) に乗って、マドリードからバルセロナに戻ります。
高速線専用として整備されたマドリードのプエルタ・デ・アトーチャ (Madrid-Puerta de Atocha) 駅。隣には、高速線開業前に使用されていた旧駅舎も保存されています。
旧駅舎は、大きな時計台とドーム式構造を持つ、いかにもヨーロッパ的な構造です。
ドームの中は、現在はミニ植物園として一般開放されています。列車を待つ人にも、そうでない人にも、一息つける憩いの場です。
改札を通り、列車が待つプラットホームへ。
乗車するのは、ドイツのICE3をベースにしたシーメンス製の高速車両「ヴェラロ (Velaro)」シリーズの「ヴェラロE」。「E」は「エスパーニャ」(スペイン) の頭文字に由来しています。スペイン鉄道 (レンフェ・オペラドラ Renfe Operadora) での制式名は103系。「マドリード - バルセロナ高速線」の列車は、ほとんどこのタイプの車両が使用されています。設計最高速度は350 km/hですが、現在の営業最高速度は300 km/hです。
隣に停まっているのは、「マドリード - セビーリャ高速線」で活躍する、元祖AVEのアルストム製100系車両。フランスのTGV-Rがベースとなっています。2009年頃までは、同型車を広軌の在来線専用とした101系車両が、カタルーニャ地方の特急列車「ユーロメッド (Euromed)」として活躍していましたが、現在は101系全車が100系に改造され、AVEとして使用されています。
それでは、車内に入ります。乗車するのはニ等車「トゥリスタ (Turista)」。
2+2の標準的なシート配置の「トゥリスタ」の車内。丸みを帯びた背もたれ形状など、ICEから多くの特徴を引き継いでいます。二大都市を結ぶ幹線だけあって、乗車率も高めです。
マドリードを発車した列車は、最高速度300 km/hでバルセロナに向かって快走します。
乗り心地は快適ですが、車窓は荒涼とした風景が続き、やや単調な感じです。
マドリードから3時間10分、終点バルセロナのサンツ (Barcelona-Sants) 駅の地下ホームに到着。
スペインには今回乗車した以外にも高速列車がまだ多々あります。個性豊かな各国製車両を一国内で楽しめること自体が、スペインの高速列車の個性とも言えるかも知れません。