海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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高速鉄道AVE・マドリード - レバンテ高速線の112系「タルゴ350」

[2012年3月]

2010年に開業したばかりの高速鉄道AVE (アベ) の新路線「マドリード - レバンテ高速線 (LAV Madrid-Levante)」に乗って、地中海沿いの都市バレンシアから、スペインの首都マドリードを目指します。

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AVEの建設に合わせて新たに整備されたバレンシア・ホアキン・ソローリャ (Valencia-Joaquín Sorolla) 駅。駅舎がどことなく簡素なのは、この駅があくまでも仮駅のためで、将来的には新たな統合ターミナルとしてバレンシア・パルク・サンラル (Valencia-Parc Central) 駅が設置され、その後はホアキン・ソローリャ駅は廃止される予定です。


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今回乗車する「マドリード - レバンテ高速線」には、高速線専用車「タルゴ350」の改良型の最新鋭系列、112系車両が集中投入されています。タルゴといえば軌間可変車両が有名ですが、この車両は軌間固定として設計最高速度が350 km/hまで引き上げられています (営業最高速度は300 km/h)。列車本数の割に広い構内には、多くの112系車両が停車しています。


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改札口の風景。スペインの長距離列車では多くの駅で列車別改札が行われており、発車直前までプラットホームに立ち入ることはできません。かつての列車爆破テロの影響で、乗車に際しては荷物のX線検査も行われ、ヨーロッパの他の国と比較すると警備が厳しくなっています。


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前面形状が印象的な112系車両。日本の「カモノハシ新幹線」と同じく、空気力学的な影響を考慮して設計されたものです。「パト」(Pato、スペイン語でカモ・アヒルの意味) という愛称が付けられているあたりも、日本の新幹線に通じるところがあります。


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高速線専用車でも、タルゴ型客車の特徴である1軸台車と短い車体長は踏襲されています。この構造は重心が低く車体重量も軽いため、高速走行でも有利とされています。


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ニ等車「トゥリスタ (Turista)」の車内。座席は10列。全席にコンセントが設置されているところも最近の車両らしい特徴です。


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こちらはカフェテリア車の様子。持ち前の短車体を活かした (?)、コンパクトな室内です。


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在来線区間を走る「ユーロメッド (Euromed)」の到着を見ながら、バレンシアを出発します。この「ユーロメッド」に使用されている「タルゴ250」は、タルゴ350と同じボンバルディア・タルゴ連合により製造された、いわば「弟分」的な存在で、愛称もタルゴ350の「パト」(カモ) に対し、スペイン語で「子ガモ」を意味する「ミニパトス (Minipatos)」あるいは「パティトス (Patitos)」と呼ばれています。


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この112系車両、客車の重量が軽いおかげか、動力集中式の列車とは思えない速さでぐんぐん加速していきます。終点マドリードまではノンストップです。


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ときどき車窓に見える在来線の線路。単線非電化です。単線非電化からいきなり複線電化の高速新線とは、かなり大幅なアップグレードにも思えますが、もともとマドリード~バレンシア間は、この路線よりも南方を走るアルバセーテ (Albacete) 経由のルートがメインで使用されていたため、写真の路線はもともと列車も少ないローカル線としての存在だったようです。


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最高速度の300 km/hで走行中。揺れも少なく快適です。


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定時性が売りのAVE、終点であるマドリードのプエルタ・デ・アトーチャ (Madrid-Puerta de Atocha) 駅にも定時に到着。


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プエルタ・デ・アトーチャ駅のプラットホーム。スペインでは自国を含めた各国製の車両が導入されているため、高速線用のプラットホームでも各種様々な車両を見ることができ、見るだけでも楽しむことができます。


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高速線専用に造られたプエルタ・デ・アトーチャ駅の新駅舎の横には、高速線開業前に使用されていた旧駅舎も保存されています。


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