コペンハーゲン ~ マルメ : オーレスン海峡を渡って国境越え
[2012年12月]
飛行機の乗り継ぎで立ち寄ったデンマークのコペンハーゲン・カストロップ国際空港。次の飛行機まで数時間あるので、時間つぶしを兼ねて鉄道に乗ってみます。コペンハーゲンとスウェーデンのマルメ (Malmö) との間は海峡で隔てられていますが、2000年に両都市を結ぶ「オーレスン橋」が完成、現在は自動車や鉄道で簡単に行き来することができます。今回はその海峡連絡鉄道「オアスンストーグ (Øresundståg)」に乗って、お気軽な国際越えの旅を試してみることにします。
カストロップ空港がコペンハーゲンとマルメとの中間に位置しているため、鉄道も最初から空港に接続する形で建設されています。空港ターミナル内に鉄道駅が併設されており、利用は極めて容易です。切符の自動券売機はクレジットカード対応で、わざわざ鉄道に乗るためにデンマーク・クローネの硬貨を用意する必要もありません。
列車は24時間運行で日中は20分間隔。「オアスンストーグ」専用車両は、デンマーク国鉄 (DSB) のIC3系気動車に似た顔つきですが、車体構造はボンバルディア・レジーナを基本とした高速電車です。「オアスンストーグ」という名称は、「オーレスン列車」を意味するデンマーク語「オアスンストー (Øresundstog)」とスウェーデン語「エーレスンズトーグ (Öresundståg)」を組み合わせた合成語で、普段はそれぞれの現地語で呼ばれます。
夕暮れのオーレスン海峡を越え、列車はスウェーデンに向かっていきます。列車の最高速度は180 km/hです。
わずか20分ほどで、スウェーデン・マルメ中央駅 (マルメ・セントラールスタショーン Malmö Centralstation) の地下ホームに到着。隣町感覚での国境越えです。距離は短いですが、運賃は片道84デンマーク・クローネ (約1300円) と結構高め。その影響もあって利用状況は予測を下回り、デンマークとスウェーデンの合弁で設立された運営会社「DSBファースト」は巨額の赤字を出して2011年に分割され、今は両国別々の2社による共同運営となっています。
となりのホームにやって来たのは、スウェーデンの国内区間を運行してる地域交通局スコーネトラフィケン (Skånetrafiken) のX61系電車。少し前まではこのあたりも旧型の電車がやってきていたようですが、2009年頃から急速に新型車両への置き換えが進んでいます。
近代的なガラス張りの建物と、瀟洒な煉瓦造りの建物が隣り合わせているマルメ中央駅の駅舎。手前には街中に向かう引込み線も延びています。
マルメ中央駅には、先ほど降り立った地下ホームと、昔から使われている頭端式の地上ホームとがあります。デンマークへ直通する列車は全て地下ホームを使用しているため、地上ホームはスウェーデン国内列車専用です。
マルメ市街散策もほどほどに、再び列車に乗ってカストロップ空港へ戻ってきましたが、まだ時間があるようなので、今度は逆方向のコペンハーゲン中央駅方面に乗ってみます。
空港からコペンハーゲン中央駅 (ケベンハウンス・ホーズバネゴー Københavns Hovedbanegård) へもわずか15分ほどで到着。プラットホームは薄暗く古めかしい雰囲気です。
首都の中央駅だけあって、ドイツからのICE-TDや、スウェーデンからのX2000といった国際長距離列車も数多く発着しています。
歴史を感じさせるコペンハーゲン中央駅の駅舎は、1911年に建てられたもの。100年経ってもまだ現役です。
上の写真の反対側の光景。線路は掘割の中を通り、その上に駅舎が乗っかっているという変わった構造になっています。昼間であれば列車を眺める格好の展望所になりそうです。そろそろ時間もなくなってきましたので、飛行機に乗り遅れないうちに空港に戻ることにします。