上海のリニアモーターカー「上海磁浮列車」
[2009年1月]
上海・浦東国際空港のアクセス鉄道として建設された「上海磁浮列車」。ドイツのトランスラピッド方式を利用した、世界で唯一営業運転を行っている高速タイプのリニアモーターカーです。「リニアモーターカー」という言葉は和製英語で、英語での一般名は「磁気浮上」を意味する「Magnetic Levitation」、略して「Maglev」。中国では直訳で「磁浮」と呼ばれています。
浦東空港駅。空港ターミナルの2階と駅が直結しています。中国では、鉄道駅 (地下鉄を除く) では空港のような手荷物のX線検査がありますが、この駅でも検査が行われます。乗車券はICチップ方式で、改札機にタッチして入場します。一乗車は普通席で50元 (約700円)。窓口で航空券 (e-tichet控えも可) を見せると40元の割引価格で乗車できます。
ホームにはすでに列車が到着しており、外観の見学は後回しにして、すぐに乗車。車内は横6列の固定式座席が並びます。座席表面はゴワゴワの布地で、高速列車の内装としては少々野暮ったい感じ。昼間の乗車率はそれほど高くないようで、各乗客が3列席を1人で占有できる程度の余裕があります。
運行頻度は15分間隔。路線は複線で建設されていますが、実際には2編成の列車が各線路を占有する「単線並列方式」で運行されています。分岐機をわざわざ動かす手間を省いているのでしょう。すれ違いの際は衝撃に一瞬驚きます。
最高速度は431 km/h (夜間・早朝は300 km/h)。空港から市内の短距離では不必要な速度とは言え、やはり一見の価値はあります。車体の揺れは思っていたよりも激しく、「浮いている」という感じはあまりありません。
わずか8分たらずで、終点・龍陽路駅に到着。同じ区間をタクシーで移動すると35分かかるそうなので、それなりに利用価値はあると言えるでしょう。
列車は5両編成で、両端が貴賓席 (一等席) となってます。
龍陽路駅の外観。この駅は上海市郊外にあり、地下鉄2号線が接続しているほかは、特に何もない不便なところです。市内中心部への乗り入れの困難さや、将来の延伸計画 (虹橋空港や杭州市への延伸計画がある) を考えた結果の駅位置なのでしょうが、中途半端さは否めないという印象です。ちなみに、駅の高架下にはマグレブの資料館があります。