海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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サンパウロ近郊電車 (CPTM)・ステンレス製の旧型車両を追って

[2011年5月]   (2012年6月訪問分追記)

地下鉄 (メトロ) とともに、サンパウロの公共交通ネットワークの中核を担う、近郊電車CPTM (コンパニア・パウリスタ・ジ・トレンス・メトロポリターノス Companhia Paulista de Trens Metropolitanos、サンパウロ都市圏鉄道会社)。7号線から12号線の計6路線があり、各路線には宝石名のラインカラーがつけられています。路線によってはVVVFインバータ制御の新型電車が数多く走っていますが、一部路線ではまだまだ非冷房のステンレス製旧型車両の活躍も見ることができます。今回は、それらの旧式車両が走る路線を中心に訪問してみます。

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まずは、サンパウロから西へ伸びる、旧ソロカバーナ鉄道 (EFS) の流れを汲む、CPTM8号線。ラインカラーはダイヤモンド (ジアマンチ Diamante)。この路線には、一部列車に最新鋭系列の7000系電車も投入さていますが、実際にはかなりの確率でこの非冷房の5000系電車に遭遇します。5000系の製造初年は1978年で、初期車両はフランスで製造されましたが、その後はブラジル国内での製造に移管されています。


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この5000系には複数の塗装パターンがあり、前の写真の「メトロポリターノ」塗装 (現在の最新塗装の一世代前の塗装) に対し、こちらの塗装はCPTM旧バージョンです。ちなみに、この8号線のほとんどの区間は、1600 mm軌間と1000 mm軌間を組み合わせた三線軌条。旅客列車はすべて1600 mm軌間の車両ですが、1000 mm軌間車両の偏寄に対応するためか、ホームと電車の間がかなり広く開いている場合が多く、乗車の際には少々危険を感じます。


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また、5000系には写真手前のような全くの無塗装バージョンも。更にこの無塗装バージョンには、二本の赤い細帯が入れられた「亜種」もあり、都合4種類の塗装パターンが存在することになります。CPTMではあまり塗装の統一を重要視していないのか、比較的新しい車両でも複数の塗装パターンが並存している場合も多いのですが、4種並存というのは恐らくこの5000系だけだと思われます。


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こちらが旧式車両たちを次々と廃車に追い込んでいる、CPTMの最新鋭電車、7000系。製造初年は2009年ですが、すでにかなりの両数が投入されているようで、この8号線を含めた多くの路線で見かけることができます。ただし前述の通り、8号線への投入ペースはかなり遅め。編成両数が4+4の8両編成で、5000系の6+6の12両編成と比べて、輸送力で劣っていることがその一因だと思われます。なお、この赤い塗装が現在のCPTM最新塗装で、7000系はこの赤塗装のみが存在しています。


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なおこの8号線、末端区間のイタペヴィ (Itapevi) ~アマドール・ブエノ (Amador Bueno) 間は、近年までメーターゲージの旅客車両が走っており、日本製の電車が使用されていました。この写真の向かい側が、かつて使用されていたイタペヴィ駅のメーターゲージ車両専用ホーム (使用停止中)。現在は1600 mm軌間車両乗り入れのための路線改良工事が行われており、当該区間は当面の間「特別バス (オニブス・エスペシアウ Ônibus espacial)」による代行輸送となっています。


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続いては、旧サンパウロ鉄道 (SPR) にルーツを持つ、CPTM7号線。ラインカラーはルビー (フビー Rubi)。この車両は、CPTMでも最古参クラスとなる、やはり非冷房の1100系電車で、製造初年は1956年。おなじみ、米国バッド社の技術で製造されました。現在でもかなりの両数が在籍しているようですが、オフピーク時は留置線で休んでいることが多く、時間帯によっては狙って乗車するのは少々難しいかもしれません。塗装は「CPTM旧塗装」のみが存在。


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こちらは、同じく7号線で活躍する、非冷房の1700系電車。1980年頃の製造と、比較的新しい車両ながら、見た目も技術的にも少々古典的です。塗装は、写真の「メトロポリターノ」塗装のみ。この7号線でも、上記の新鋭7000系がかなり進出していますが、1700系はまだ数多く活躍しており、遭遇の難易度はそれほど高くなさそうです。とはいえ、製造初年から考えて、この車両を「旧型」に分類していいのかどうかは迷い所ではあります。


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(2012年6月追記) なぜか多様な旧型車が集められている12号線。ラインカラーはサファイア (サフィーラ Safira)。写真の車両は米国バッド社製1600系で、1978年製。この車両は比較的普通の顔つきをしていますが、前面窓が極端に小さい奇妙な顔の亜種 (初期型?) もあります。12号線には他にも数種類の旧型車が走っていますが、全部を撮影するほどの根気が無かったので、紹介するのはこの形式だけです。


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