海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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サンパウロの地下鉄と近郊電車 (CPTM)

[2010年12月]   (2012年6月訪問分追記)

車社会化が進み、旅客列車はほとんど廃止されてしまったブラジルですが、渋滞に強い鉄道の特性が再認識され、近年は大都市周辺部で都市鉄道の整備が進められています。ブラジル最大の都市サンパウロでは、地下鉄と、既存鉄道路線を活用した近郊電車 (CPTM) という2種類の鉄道から成る、ブラジル国内で最大規模の都市鉄道ネットワークがあります。

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まずは地下鉄 (メトロ) から紹介。ターンバー式の自動改札機が並ぶ地下鉄の改札口です。運賃は地下鉄とCPTMを合わせた全線均一の2.65レアル (約130円)。きっぷは改札機に通した時点で回収されます。


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きっぷ売り場はすべて有人窓口で、自動券売機はありません。最近はICカードがかなり普及しており、窓口できっぷを購入する人も少数派となっているようです。


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地下鉄は現在5路線がありますが、現在も路線の延長や新規路線の建設が進められています。こちらはもっとも古い1号線で、最初の区間の開業は1972年。車両はやや古く、冷房も付いていません。地下鉄は路線ごとにラインカラーが設定されており、1号線は青 (アズーウ Azul) です。


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1991年と比較的最近開業した2号線、ラインカラーは緑 (ヴェルジ Verde)。VVVFインバータ制御で冷房つきの快適な車両です。


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順番が前後して、3号線は1979年の開業。ラインカラーは赤 (ヴェルメーリャ Vermelha)。こちらの車両も非冷房ですが、最近は新型車両の導入も始まっているようです。1、2、3号線は、路線規格はすべて同じ1600 mm軌間、第三軌条方式となっていますが、この方式で統一するメリットがないと判断されたようで、以降の路線では規格が変更されています。


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(2012年6月追記) 地下鉄は5号線までありますが、最新路線はこの4号線で、2008年の開業です。ラインカラーは黄色 (アマレーラ Amarela)。この路線だけ営業主体が異なり、「ヴィアクアトロ (ViaQuatro)」という合弁企業 (三井物産も参加) によるコンセッション方式で運営されています。全駅スクリーン式のホームドアが完備され、車両も無人運転方式が採られるなど、最新技術がふんだんに盛り込まれており、サンパウロの鉄道ネットワークの中でも異彩を放っています。


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再度順番が前後して、5号線は2002年開業。ラインカラーはライラック (リラース Lilás)。現在はまだ郊外区間のみの開業で、路線のほとんどが高架区間です。既存の地下鉄とは接続しておらず、唯一、CPTMの9号線とだけ繋がっています。この路線から規格が1435 mm、架空電車線方式に改められています。


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続いて、サンパウロの都市鉄道ネットワークのもうひとつの主役である近郊電車 (CPTM) を紹介。地下鉄とCPTMの乗り換えは、ターンバー式の改札機を備えた専用のゲートを通る必要がありますが、追加料金は必要ありません。改札機が設置されているのは、将来的に課金する予定もあるということでしょうか。


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CPTMとは、サンパウロ都市圏鉄道会社 (コンパニア・パウリスタ・ジ・トレンス・メトロポリターノス Companhia Paulista de Trens Metropolitanos) の略称。地下鉄とは別組織ですが、両組織ともサンパウロ州都市交通局 (STM) 傘下にあります。写真は、サンパウロ中心のルス (Luz) 駅に進入する、10号線の2100系電車。旧スペイン国鉄 (RENFE) の440系電車を中古で購入したもので、都市鉄道には不釣合いの片側2扉の構造となっています。


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CPTMの路線は、かつては地下鉄とは別にA線、B線…という路線名称がつけられていましたが、現在は地下鉄との通し番号で7-12号線と改称されています。ラインカラーには「ルビー (フビー Rubi)」、「エメラルド (エスメラウダ Esmeralda)」、「サファイア (サフィーラ Safira)」など、宝石の名前がつけられています。写真は、ルス駅で発車を待つ11号線の2000系電車。地下鉄と共通の前面青色塗装ですが、上の写真と同じ赤色塗装への変更が順次進められています。


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CPTMは既存の鉄道路線を活用して都市鉄道として再整備した路線です。貨物列車とも線路を共用しており、ルス駅でも時々貨物列車の姿も見ることができます。


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CPTMでは新旧様々な車両が活躍しており、見た目的にも楽しむことができます。こちらは7号線で活躍する、やや古めの1700系電車。非冷房です。


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CPTMの路線はほとんどが1600 mm軌間、架空電車線方式の共通規格ですが、使用する車両の運用範囲は異なり、複数の路線で活躍する形式や、単一の路線でだけ使用されている形式など様々です。写真は、サンパウロ南西部の9号線で活躍する3000系電車。


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同じく9号線の7000系電車。2010年登場の最新鋭形式で、塗装は赤色のみが存在しているようです。


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こちらも9号線、上の方で紹介した2000系とは全く別形式の新2000系電車。2008年登場と、こちらも比較的新しい車両です。9号線の一部区間では線路が三線軌条となっていますが、狭軌側はすでに使用されていない模様で、郊外区間を中心に内側のレールの撤去が進められています。


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新2000系の車内。ほとんどの車両は、写真のようなプラスチック製セミクロスシートです。


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