海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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カンピーナスの観光用SL列車

[2010年12月]

ブラジルには、ブラジル鉄道保存協会 (ABPF) という非営利団体があり、国内各地で保存鉄道の運営を行っています。今回はその保存鉄道のひとつ、カンピーナス (Campinas) の蒸気機関車に乗ってみました。なおブラジルでは、蒸気機関車は親しみを込めて「マリア・フマサ (Maria Fumaça)」と呼ばれています。「フマサ」は「けむり」という意味です。

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カンピーナスのアニューマス (Anhumas) 駅。ここが保存鉄道の起点となります。かつてこの路線が現役として使用されていた頃は、カンピーナス市中心部まで線路が伸び、本線と接続していましたが、現在は保存鉄道専用の孤立した路線となっています。


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この保存鉄道は、ここアニューマス駅から、カンピーナス市郊外のジャグアリウナ (Jaguariúna) 駅までの約24 kmを、約3時間半かけて往復します (終点での1時間休憩を含む)。週末のみの運行で、予約は必要ありませんが、乗客の数に合わせて毎日客車の連結両数を変えているとのことです。


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蒸気機関車がやってきました。この401号機は、1913年・アメリカ・ボールドウィン社製のパシフィック型。燃料には薪を使用しています。なお、ABPFのスタッフは大勢がボランティアだそうです。


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ホームに停まっていた2両の客車を、推進運転で回送していきます。スタッフが推進運転をしたいがために、わざと邪魔な位置に客車を停めたのではという疑いも残りますが、いろいろと事情があるのでしょう。


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続いて、2両目の505号機が、転車台で方転しながらスタンバイ中。ドイツ・シュワルツコフ社製のミカド型で、1927年の製造。この日の運転はどうやら重連のようです。


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先ほどの401号機のあとを追っていきます。


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列車の入換作業中、構内に停まっている客車を見学。こちらがこの日乗車することになる客車です。製造年は不明ですが、外板に木が使われている車両もあります。レトロ調に外観を改装しただけかもしれませんが、そこそこの年代ものであるのは間違いないようです。一等車を示す、1A (プリメーラ) との表記があります。


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車内の様子。2人掛けの転換クロスシートが並びます。


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こちらは構内の片隅に停まっていたステンレス製客車。動態保存なのかどうかは不明です。SLとはミスマッチかもしれませんが、こちらの客車にも乗ってみたいものです。


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この車両には「移動診療車 (ウニダージ・モーヴェウ・ジ・サウージ Unidade Móvel de Saúde)」との表記があります。おおよその用途は想像がつきますが、どのような状況で使用される車両なのでしょうか。


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いよいよ本日乗車する列車が入線。この日は観光バスで乗り付けた団体客も大勢おしかけ、列車は総勢11両編成となっています。なんと食堂車も2両連結されています。


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この保存鉄道は、走り始めてからかなり年月が経っているようですが、いまだに人気は衰えることを知らない様子で、この日も大盛況です。なお、座席は全席指定です。


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先ほどの構内入換作業が長引き、列車は20分遅れでアニューマス駅を発車します。


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2両の食堂車も早速営業中。さすがに調理まではしていないようですが、軽食や飲み物の販売が行われています。ちなみに車内のトイレも一部使用可。


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広大な牧場が広がるカンピーナス郊外を、列車は軽快に走り抜けて行きます。


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途中にはいくつか駅があり、客扱いは行わないものの、不定期に停車することがあるようです。ここはルートのほぼ中間地点にあるタンキーニョ (Tanquinho) 駅。この列車では下車することはできませんが、この駅発着の列車の設定もあります。


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給水するというわけではありませんが、機関士が降りて動輪周りのチェックを行っています。


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再びジャグアリウナに向けて快走。途中には踏切も。


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車両工場が併設されているカルロス・ゴメス (Carlos Gomes) 駅を通過。どう見ても走りそうにないボロボロの客車から、比較的車齢が若いと思われるディーゼル機関車まで、さまざまな車両が保存されていますが、中にはいくつか動態保存車両も含まれているのではと思われます。


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列車は、保存鉄道用に新設したと思われる真新しい高架橋を渡り、ジャグアリウナの市街地に入っていきます。


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芝生が敷き詰められた公園が、終点のジャグアリウナ駅です。アニューマス駅からの所要時間は約1時間20分。


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この駅もかつて現役の駅として使用されていたものですが、鉄道が廃止されたあとは線路が一旦引き剥がされ、後になって再度 (わざわざ高架橋まで作って) 延伸して、保存鉄道の終着駅として再整備したようです。鉄道関係の展示を行っているミニ博物館や、お土産やなども併設されており、列車の乗客以外にも大勢の観光客が来てにぎわっています。


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列車はここで、機関車の給水と機回しのため、1時間ほど停車します。機回し線が併用軌道になっているのも面白いですが、 (写真では見にくいものの) 機回し線上に別の客車が停まったままになってます。


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機関車は1両ずつ切り離され、転車台で方転をします。


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やっぱり動力は人力!


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機回し線に鎮座していた客車は、わざわざ別の蒸機が出動して一旦本線上に退避し、機回し完了後に再び元の場所に戻されます。なお、この入換任務にあたっているのは、アメリカ・ボールドウィン社製の604号機。1895年製造の大古参です。


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機回しが終了し、帰路に向けて準備が整いました。帰りは505号機が先頭に立ちます。


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