海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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オーストリアのナローゲージ鉄道「ツィラータールバーン」

[2017年12月]

オーストリア西部のイェンバッハ (Jenbach) から伸びる、「ツィラータールバーン (Zillertalbahn)」という軌間760 mmのナローゲージ路線があります。ツィラー川沿いの渓谷 (ツィラータール) に沿って、終点マイヤーホーフェン (Mayrhofen) まで約32 kmを、約1時間かけて結んでいます。

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ツィラータールバーンの駅は、オーストリア連邦鉄道 (ÖBB) の駅に併設されています。地下通路を通ってホームへ向かいます。


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ツィラータールバーンの車両には、機関車牽引の客車タイプとディーゼルカータイプがあります。こちらは客車タイプの車両で、客車側も制御付きとしたプッシュプル方式です。どの編成も、1980~90年代に製造された旧式車と、2000年代に入って造られたバリアフリー対応の新型車との混結となっており、編成中にバリアフリー対応車が少なくとも1両入るよう配慮されています。この編成では一番手前の制御付き客車のみが新型車となっています。


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機関車は新型客車とほぼ同時期に製造されたもの。当然ながら制御客車からの遠隔操作に対応しています。


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こちらはディーゼルカータイプの車両。旧式の両端の動力車と、新型の中間付随車という編成です。新型車は客車または付随車しか製造されておらず、ディーゼルカーの動力車は旧式車のみが存在します。


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ディーゼルカータイプの車両に乗車してみます。旧式の先頭動力車に乗車。小さな車内には座席が1+2の3列で配置されています。切符は車掌から購入します。


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列車は全列車が各駅停車。およそ3分おきくらいに、こまめに停車していきます。運行頻度は30分に1本で、ナローゲージ路線にしては結構な高頻度。地元密着の生活路線であることが伺えます。


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生活路線とは言え、渓谷を走る列車は、景色も秀逸です。夏季限定でSL牽引の観光列車も運行されています。


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ナローゲージらしい急カーブを走っていきます。


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途中駅で対向列車と行き違い。向こうは客車タイプの列車です。


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この路線の約半数の駅は、リクエスト時のみに客扱いをします。それらの駅での下車時は、写真のボタンを押して知らせます。とはいっても、リクエストがなくても駅を通過してしまう訳ではなく、基本的には全駅で一旦停車はするようです。


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イェンバッハを出発して約30分、路線のほぼ中間地点にあたる、カルテンバッハ・シュトゥム・イム・ツィラータール (Kaltenbach-Stumm im Zillertal) に到着。今回は時間の都合で、ここで折り返すことにします。しかし、30分ほどの乗車で片道5.7ユーロ (約750円) というのは少々高い気もします。


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駅は一般道の脇にあり、歩道とプラットホームが一体化したような構造です。すぐ近くにツィラー川が流れています。


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折り返しの列車がやってきました。行きがけと同じ気動車タイプです。中間の新型車のみ、車体幅が大きくなっているのがわかります。


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乗り比べとして、帰りは新型の中間付随車に乗車してみます。車体の大型化により、座席も2+2の横4列となっています。車体中央を低床化してバリアフリー対応としています。


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上で紹介した「リクエスト時のみ客扱い」の駅の一つ。わかりにくい写真ですが、待合室の中にリクエスト用のボタンが設置されているのが見えます。


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出発駅のイェンバッハに帰着。1時間少々の短い旅はこれで終了です。


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ところで、このイェンバッハには、ツィラータールバーンに加えてナローゲージ路線がもう一つあります。「アーヘンゼーバーン (Achenseebahn)」と呼ばれる、アーヘン湖 (アーヘンゼー) 観光を目的とした純然たる観光路線で、こちらは夏期のみの営業です。


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アーヘンゼーバーンは軌間1000 mmのラック式鉄道で、すべて蒸気機関車により運行されています。終点のアーヘン湖畔までのわずか7 kmほどを、50分ほどかけてゆっくり登っていきます。蒸気機関車が現役で活躍するラック式鉄道としてはヨーロッパ最古とのこと。今回は残念ながら、運休中で錆び付いたレールを見るだけで終わりです。


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最後におまけ。アーヘンゼーバーンの駅の敷地内にケーブルカーが飾られています。イェンバッハからほど近いインスブルック (Innsbruck) にある、「フンガーブルクバーン (Hungerburgbahn)」という路線で使われていた車両のようです。


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