ミュンヘン ~ イェンバッハ : 国際特急列車「ユーロシティ」
[2017年12月]
ドイツ南部のミュンヘンから、国際特急列車「ユーロシティ」に乗車して、オーストリア西部の町、イェンバッハ (Jenbach) を目指します。
朝のミュンヘン中央駅 (München Hbf) で、いきなり珍客と遭遇。往年の名機、103形電気機関車です。旧西ドイツ時代の1970年代、当時の国際列車TEEの牽引機として製造された機関車で、最高速度200 km/hを誇ります。今では現役を退き、この1両のみが動態保存機として残されています。この日はなぜかインターシティ用客車を連結してホームに鎮座しています。理由は不明です。
ミュンヘン中央駅は頭端式ホームの巨大駅で、32もの発着線があります。今回乗車する「ユーロシティ」は、中央のメインコンコースから発車します。列車はすでにホームに入線中 (写真右)。隣にはハンガリーのブダペスト行き列車「レイルジェット (Railjet)」も停車しています。
今回乗車するミュンヘン発9:34のイタリア・ボローニャ (Bologna) 行き「ユーロシティ」85列車。牽引機は、シーメンス製ユーロスプリンターの1216形。オーストリア連邦鉄道 (ÖBB) 所属の車両で、タウルスIII (Taurus III) という愛称もつけられています。最高速度は230 km/h。
客車も全車がÖBBの所属車両です。
食堂車も連結されています。編成は、二等車7両、食堂車1両、一等車2両の総勢10両です。
この列車はドイツ鉄道 (DB) とÖBBとの共同運行で、列車名はそのままの「DB - ÖBB ユーロシティ」。2時間おきに一日5往復が運転され、ミュンヘンから、オーストリア西部の主要都市インスブルック (Innsbruck) を経由して、イタリア北部へ至るルートを走ります。イタリア国内では途中のヴェローナ (Verona) までが共通ルートで、その先は列車ごとに始終着駅が異なります。
一番人が少なそうな、端っこの車両に乗車。開放式の二等車です。二等車にはコンパートメントタイプもあります。座席は任意予約制で、座席指定には4.5ユーロの追加料金がかかります。また事前予約は発車24時間前くらいで締め切られてしまうので、直前の乗車であれば座席指定自体ができなくなります。
列車はミュンヘンを定刻に発車。あたりには前日に降った雪が残っています。この日の最低気温は氷点下です。
列車はほどなく、ミュンヘン東駅 (ミュンヒェン・オスト München Ost) に到着。ここから列車は南寄りに進路を変え、一路オーストリア国境を目指します。
ローゼンハイム (Rosenheim) を過ぎると、車窓にはオーストリアとの国境を隔てる山脈が見えてきます。
列車は、山脈が少し開けたイン川沿いの渓谷へ入っていきます。
オーストリア側の国境の街、クーフシュタイン (Kufstein) に到着。ここから少しばかり乗客が増えてきます。この列車は国際列車ながら、国内のローカル利用も多いようです。
列車は引き続きイン渓谷に沿って、今度は西向きに進路を変えて行きます。ミュンヘンからは国境の山脈を迂回する形で、ちょうどカタカナのコの字のようなルートとなります。また、このクーフシュタインからインスブルックに至る区間は、「下イン渓谷鉄道 (ウンターインタールバーン Unterinntalbahn)」とも呼ばれています。
ミュンヘンを発って約1時間半、目的地のイェンバッハには数分遅れで到着。
渓谷の中のイェンバッハの町。駅のすぐ近くまで雪山が迫っています。
イェンバッハの駅舎。この駅からは2本のナローゲージ鉄道が伸びています。今回はその一つに乗車するため、この街までやってきたという次第です。その様子はこちらで。
ナローゲージ鉄道の乗車と、駅周辺の簡単な散策を終えた後、再び「DB - ÖBB ユーロシティ」に乗ってミュンヘンへ戻ります。帰りの列車は、ヴェローナ始発の88列車です。行きがけの列車よりは少々混みあっているようですが、何とか席にはありつけます。
行きがけと同じルートで一路ミュンヘンへ戻ります。帰りは反対側の席に座ってみることにします。
ミュンヘン中央駅には、ほぼ定刻に到着。イェンバッハでの2時間の滞在を含め、所要5時間のお手軽国際列車の旅は、これにて終了です。
牽引機は、車体にイタリアの国旗が描かれた専用色を纏っています。
隣には、ICE3の最新型、407系が停車中。