海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ベトナム鉄道で行くタムコックへの旅

[2008年5月]

ハノイから100キロほど南に行ったところにある、「陸のハロン湾」と呼ばれる観光地タムコック (Tam Cốc)。ハノイから現地バスツアーなどに参加するのが一般的とのことですが、やはり敢えて鉄道を使って訪問してみます。

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ベトナム鉄道は、最大の幹線である南北線 (通称: 統一鉄道) ですら一日数往復しかなく、基本的には全車指定席。今回はあらかじめ日本出発前に現地旅行会社に手配をお願いしました。数ドルの手数料は取られますが、頼んでおいたほうが無難。滞在先のホテルにも届けてくれます。日系の複数の旅行会社で受け付けてますが、会社によって対応の良し悪しや、手数料の値段が変わります。


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南行きの列車はここハノイ駅から発着します。北行きの列車が出ているハノイB駅という別の駅もありますが、通常「ハノイ駅」といえばこちらを指し、タクシーでも「ハノイ・ステーション」といえばこちらに連れて行かれます。


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駅の中の様子。列車本数が少ない割には立派な電光掲示板です。ホームに入れるのは発車時間の1時間前から。


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今回乗車する列車は、ハノイ10:05発、サイゴン (ホーチミンシティ) 行きTN1列車。タムコックの最寄り駅であるニンビン (Ninh Bình) 駅まで日帰りで往復しようとすると、この列車以外に選択肢はありません。列車は、下級車両 (ハードベッド・ハードシート) で構成されており、旧共産圏らしい緑色の客車でほぼ統一されています。各車両に車掌がおり、乗車時に検札が行われます。


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TN1列車のサボ。窓には投石対策の金網。


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最後尾には電源車と貨車。


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こちらは食堂車。通常、サイゴン側の一番端に連結されています。


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牽引機は、ベトナム鉄道のエースD19E型機関車、通称ドイモイ号。中国製の電気式ディーゼル機関車で、統一鉄道の旅客列車牽引の主役となっています。


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車内へ入ります。乗車したのはハードシート車。ベトナム鉄道のほとんどの区間は、日本のJR在来線より狭いメーターゲージですが、シートは横5列。もちろん冷房もありません。欧米人バックパッカー等の姿も見えますが、基本的にはほとんど地元客。見知らぬ日本人の我々に対しても、お菓子をくれたり、一緒に写真を撮ったりと、なかなかフレンドリーです。日本語を勉強しているという女の子にも出会いました。


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TN1列車はハノイ駅を定時に出発。スピードは結構のろのろです。車内でまた検札があります。乗り心地はそれほど悪くありませんが、窓の金網は思っていた以上に鬱陶しいです。


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ほどなく最初の停車駅、ザップバット (Giáp Bát) 駅に到着。時刻表を見る限り、停車するのは南行き列車が1日1本だけという駅ですが、駅舎は立派です。


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ベトナム鉄道の路線はほぼ全てが単線で、時々信号場を通過します。信号場といっても、それぞれ駅舎やプラットホームもあり、普通に「駅 (Ga)」と呼ばれています。これらの「駅」もかつては旅客営業をしていた時代があったのかもしれません。それにしても、ベトナムは砂埃が多いのか、窓際に座っていると全身砂まみれになってしまいます。


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3つ目の停車駅、ナムディン (Nam Định) 駅。統一鉄道の多くの列車 (といっても数本) が停車する大きな駅で、乗客が大きく入れ替わります。目的地のニンビンまではもうすぐです。


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ハノイから2時間強、目的地のニンビンに定刻に到着。乗降したのはほとんど地元客で、観光目的らしき人は、前出の欧米人バックパッカー2名くらい。やはり観光目的で列車でここへ来る客はごく少数のようです。切符は駅を出るときに回収されます。


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ニンビン駅の駅舎。立派な駅舎ですが、停車するのは上下各々1日わずか2,3本。駅前には一応、駅前通りのような町並みがありますが、列車到着直後だというのにひっそりとしています。


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タムコックでの観光を終え、再びニンビン駅へ。一日わずか上下各々2,3本しか停車しない割には、有人窓口もあり、売店もあり、なかなか人手がかかった駅です。帰りに乗る列車は18:55発SE6列車。発車まではもう少し時間があります。


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時間つぶしに周辺を散歩します。ニンビン駅の構内で、貨物列車が入れ換え作業をしています。


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駅周辺はかなりひっそりとしていますが、少しはなれたところに街の中心部があり、こちらは活気に溢れています。


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すっかり日も落ちてしまった頃、ハノイ行きSE6列車が到着。サイゴンからはるばる30時間かけて到着しましたが、ニンビンには定時到着です。


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SE6列車は上級車両 (エアコン付きソフトシート・ソフトベッド) で構成された豪華編成。車体色もトリコロールに統一されています。窓の金網もありません。列車は満員ですが、発車直前に発売される立席券を買って乗車することもできるようで、全車指定席にもかかわらず立ち客が大勢います。


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ソフトシート車の車内の様子。集団見合い式にリクライニングシートが並んでいます。車両の静粛性も高く、乗り心地は悪くないのですが、車内では大音量でビデオが放映されており、うるさいことこの上なし。これなら行きがけのハードシート車の方が楽しかったとも思います。


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夜の9時過ぎ、終点のハノイ駅に到着。ホームには跨線橋などはなく、駅から出るには隣に停まった長編成の列車を前後から迂回しなければなりません。


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SE6列車の牽引機。ドイモイ号と同じD19E型機関車ですが、外見が異なる後期型です。何はともあれ、タムコック日帰りの旅、無事終了です。


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