海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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消えゆく準急列車「復興号」

[2010年5月]

客車準急列車の「復興号」。停車駅が多い対号列車 (指定席列車) で、近年まで夜行列車も設定されるなど、台鉄 (台湾国鉄) の主力列車の一つでした。しかし、区間車 (冷房つき普通列車) の大量増発に追われる形で徐々に運行本数を減らし、現在は西部幹線と南廻線にわずか2往復ずつが残るのみ。近年中の全廃も見込まれています。最後の活躍を続ける復興号に乗車してみます。

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七堵駅は、台北の北に位置し、車両基地と隣接した駅です。西部幹線を走る多くの列車は、手狭な台北駅では折り返しができないため、ここを拠点として運行されています。2007年に、この高架というか盛土の上に建設された新しい駅構造に生まれ変わっています。


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見た目の立派さとは裏腹に、広い構内は薄暗く、人気もほとんどありません。列車の運行上の拠点ではありますが、利用客にとってはマイナーな駅となっているようです。


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ホームへあがると、列車はすでに入線しています。高雄行き・復興号115次。終点・高雄まで約8時間をかけて走ります。今回は、途中の新竹まで乗車。所要時間は約2時間です。


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牽引するのは、米国GE製の電気機関車・E200形。台鉄のほとんどの電気機関車は、客車用サービス電源として、440V三相交流発電機を備えているため、電化区間を走る客車列車は、電源行李車 (電源荷物車) を連結せず、機関車から直接給電を受けています。


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青いツートンカラーが涼しげな復興号用客車。冷房装置を床置きとしているため、屋根上の造作がすっきりとしており、20系と14系座席車を足して2で割ったような外観となっています。


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「復興号」の表示がみられるのも、あとわずかでしょうか。


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マイナーな駅からは、やはり乗車する客の姿もほとんどありません。今回乗車した2号車は、七堵発車時点では、私1人の貸切です。


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七堵を発車すると、車窓右手には、七堵調車場が見えます。基地に留置されている写真の青い車両は、気動車DR2000系の付随車として製造されたDR2050形。現在はSL列車用などのイベント用「客車」として使用されています。元はナロー時代の台東線で活躍し、1067 mmに改軌されて現在も使用されている、貴重な車両です。


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台北を過ぎると、乗客の入りも多くなり、ほぼ満席となります。運行本数が少なく、しかも区間車 (普通列車) と同じ料金とあって、大半はたまたま来たこの列車に無座で乗っただけだろうと思っていたのですが、結構な割合の乗客が指定席券を手にしています。たった2往復の運行でも、まだその存在感は健在のようです。


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新竹で下車。列車はまだ、この先高雄まで、こまめに停車しながら6時間の長旅を続けます。


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