海外各地の旅行先で出会った鉄道風景を紹介します。日本国内の話題も時々。

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ヤンゴン臨港線・「路面気動車」が走る都会の閑散路線

[2015年8月]

ヤンゴン臨港線は、ヤンゴンの港湾地区を走る貨物線を旅客化したもので、2014年に運行を開始しました。「ヤンゴン湾岸線」あるいは道路の名をとって「カンナーラン線 (Kanna Lan、英語ではストランド線 Strand Line)」などとも呼ばれます。ヤンゴン環状線と同じく日本製中古車が活躍しており、「気動車による併用軌道走行」という珍しい光景にお目にかかることができます。

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臨港線の起点は、環状線のパズンダウン (Pazundaung) 駅。ヤンゴン中央駅の隣の駅ですが、市中心部からはタクシーで直接アクセスしたほうが便利です。臨港線は開業から1年も経っていないにもかかわらず、利用客が少ないため運行本数が早速減らされてしまったとのこと。運行ダイヤに関する情報が少なく、何時に列車が来るのかわからないまま、とりあえず駅に向かってみます。


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駅に掲示されている路線図と時刻表。例によってすべてミャンマー語で解読不能です。数字くらい予習しておけばよかった、とも思いましたが後の祭り。紙が古そうなので「減便前」の情報という可能性もあります。


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「本数が少ないのであれば、10時ちょうど位に列車が設定されているかも」という甚だ根拠に乏しい予測に基づき、実際に10時に駅を訪ねたところ、これが大当たり。ちょうど列車が入線してきたところです。臨港線の列車は、環状線のホームとは別のこの小さな「朝礼台」から乗車します。列車はすぐに発車です。


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外観からも分かるとおり、車両は三陸鉄道からの譲渡車。車内はロングシートに改造されています。私の他に乗客の姿はなく、関係者と思しき方々が数人いるのみです。制服を来た車掌らしき人に声をかけ、切符を購入します。


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先頭の貫通扉は開け放たれており、前面展望が直接楽しめます。列車のスピードは非常にゆっくり。写真を撮っていると、運転手に「ここに座れよ」と椅子を勧められ、素直にお言葉に甘えます。


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列車本数が少ない路線ですが、踏切では係員がしっかりと安全確認。


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パズンダウン駅からしばらくは、都市部とは思えない「森」の中を走っていきます。途中の停留所では、乗客の乗降が少しばかりあります。


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「森」を抜けると、列車は港湾地区の併用軌道へ。


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併用軌道区間では、標準軌とメーターゲージの三線軌条になります。もっとも、標準軌はどことも繋がっていないので、今のところ使用されていないようです。


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列車が急停車。停車中のトラックが進路をふさいでいます。トラックの運転手と列車の運転手とで「これくらい通れるだろ」「いや、通れない」といった言い合いをしてましたが、結局はトラックに場所をずらしてもらうことに。


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停留所はこのような感じ。新しい路線だけに、意外と立派な設備になっています。


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併用軌道が走る道路は実は有料道路で、途中では「料金所」も通過します。中央が鉄道専用のゲートになっており、列車が通過する時以外はコーンを立てて、一般車の誤侵入を防いでいます。


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交差点に差し掛かるたびに最徐行を行いながら、ゆっくりとしたスピードで走っていた列車。人気の少ない区間に掛かると、少しだけスピードを上げます。最前部で写真を撮ってる私に対し、横から運転手が「日本から来たのか。この車両は日本製で高品質だ。」「お前は鉄道会社で働いてるのか? 鉄道会社じゃなければカメラマンか?」「この車両は運転できるか?」などと色々話しかけてきます。


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パンソーダン (Pansodan) 停留所に到着。以前はここで東側区間と西側区間とで運行が区切られ、この駅で乗り換えとすることで、交換設備がない臨港線での列車本数確保を図っていました。前述の通り現在は減便され、列車は全区間直通となっています。手前が東側区間の停車位置、写真右奥に小さく見えるのが西側区間の停車位置です。


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ワーダン (War Dan) 停留所付近と思しき、何もない場所で停車。もうひとつ先にトーリークエ (Htaw Li Kue) という停留所があったはずですが、列車はここで終わりとのこと。運転手に礼を言って列車を降ります。私の他に数人いた乗客は、誰1人降りる様子がありません。どうやら、ただ乗車しているだけの冷やかし客ばかりらしく、そのまま折り返すつもりのようです。パズンダウンからここまでの所要時間は約50分です。


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ワーダン停留所の付近には貨物駅があります。現役なのか廃駅なのか微妙な雰囲気ですが、施設は何かしら使われているようです。


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線路自体はまだ先に伸びており、最終的には再び環状線に繋がるらしいのですが、長期間使用されず所々地中に埋もれており、現在は補修工事が行われています。工事は鋭意行われているものの、閑散とした列車の利用状況を見る限り、果たして工事が完成まで至るのか不安な気もします。


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埋もれた線路を歩いて辿り、環状線との接続部まで行こうと思っていましたが、途中で痕跡が分からなくなり断念。路線復活には金も手間も結構掛かりそうな雰囲気です。この臨港線を電化して「路面電車化」する計画があり、既に広島電鉄から中古車両の譲渡を受けています。ただし、見たところでは架線の敷設はほぼ未着手。運行開始は2か月後 (2015年10月) だそうですが。


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