ブエノスアイレスの鉄道風景
[2006年4月]
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで出会った鉄道の紹介。
アルゼンチンタンゴ発祥の地と言われる、ブエノスアイレス・ボカ地区で、市街地を横切る貨物線を貨物列車が通過していきます。遮断機も警報機も無い踏切を、歩くより多少速い程度のスピードでゆっくりと通過していきます。しかも、遅いのみならずとてつもなく長い編成です。いつになったら通れるようになるのか、車と人が行列をつくって通過が終わるのを待っています。
列車のスピードが遅いので、列車までかなり近づくこともできます。レールは三線軌条で、この列車は広軌側のレールを使っています。
その貨物列車が通過した後の線路。三線軌条ですが、狭軌側のレールはほとんど使われていないようです。旅客用の乗降場のようなものがありますが、かつては旅客営業もしていたのでしょうか。腕木式の信号機もあるなど、意外と見どころが多そうな路線です。
こちらはブエノスアイレス市の中心部近くにある、市内最大のターミナル、レティーロ駅 (Estación Retiro)。ブエノスアイレスにはターミナル駅が5つありますが、ここはその中でも最大です。ヨーロッパ風の荘厳な建物が特徴です。
駅構内の様子。ドーム状の屋根が特徴の頭端式プラットホームで、やはりヨーロッパ風の造りです。改札口には自動改札機が並んでおり、その奥に近郊電車が停まっているのがみえます。
レティーロ駅の裏手には貨車がたくさん停まっています。貨物の取り扱いもある駅のようです。
レティーロ駅の脇にある地下鉄の入口。スペイン語圏でも地下鉄は「メトロ」と呼ばれますが、ブエノスアイレスだけは例外的に「スブテ (Subte)」と呼ばれています。地下鉄駅のサインシステムは洗練されたデザインです。
地下鉄は、どこまで乗っても1乗車70センターボ (約30円) の均一料金。乗車券は磁気式カードで、1回用、5回用などがあります。
地下鉄レティーロ駅に停車中の電車。一部に元名古屋市営地下鉄の車両も走っていますが、1930年代から活躍しているシーメンスO&Kという車両もあります。年季が入っていそうなシーメンス車に乗ってみますが、乗り心地はある意味「期待通り」です。
レティーロから三つ先のディアゴナル・ノルテ (Diagonal Norte) 駅で下車。ここで乗換えます。
地下鉄には5路線 (A~E線) があります。ディアゴナル・ノルテ駅ではB線、C線、D線が接続していますが、駅名は路線ごとにバラバラの名前がついています。D線のヌエベ・デ・フリオ (9 de Julio) 駅構内を名古屋市営地下鉄の車両を見ながら通り抜け、B線のカルロス・ペジェグリーニ (Carlos Pellegrini) 駅へ向かいます。
B線で乗ったのはこの電車。見ての通りの元丸の内線の車両です。ほぼ原型をとどめていますが、腰板部にホームと車体の間を埋めるスペーサが取り付けられています。車両と合わせたのかどうか分かりませんが、B線のラインカラーは赤となっています。